【アプデ】「アレ」が大腿骨近位部骨折の術後予後に影響を与えていたって本当?

握力はサルコペニアの基準にも含まれている、全身の筋力を反映する重要な因子です
握力と全身の筋力・身体機能・要介護予測などに有用であるという報告は多数あります


大腿骨転子部骨折の予後予測って、認知症とか基礎疾患についてはよく言われてるけどね。





大腿骨近位部骨折術後の握力と機能予後の関係

参考文献
①Handgrip strength of the elderly after hip fracture repair corre- lates with functional outcome. : Beloosesky Y et al. Disabil Rehabil 32:367- 373, 2010 

②Can early assessment of hand grip strength in older hip fracture patients predict functional outcome?  :Ivan Selakovic et al. ;PLoS One 14 ,August, 2019

③大腿骨近位部骨折術後患者の経時的握力と認知機能との関連 ;和平美香ら ,日本骨粗鬆症学会雑誌 2021 Vol.7,No,3


  1. 大腿骨近位部骨折後早期において、低握力ほど術後3ヶ月、6ヶ月に低機能となる
  2. 大腿骨近位部骨折術後2週から6週間は握力がほぼ一定
  3. 認知機能低下があっても、認知機能正常者と同様の経過

参考文献の①では、術後の早期(1週間)の握力が術後6ヶ月までのFIMスコアと相関することを示しています。

一方、大腿骨近位部骨折の臨床研究においては、その因子の多さが問題です。

特に認知機能や術前の健康状態が大腿骨近位部骨折術後の機能予後に影響を及ぼすことが、すでに分かっている以上、それらを除外して独立因子として「握力」を出す必要があります。

①の論文では受傷時の認知機能、健康状態をそれぞれ評価して多変量解析で、握力の因子の独立性を担保しています。
ただし、後ほど述べますが、握力測定結果に疑問が出るほどの重度の認知機能低下者については、対象から外されています。


健康状態については、Charlson Comorbidity Index (CCI)を用いています。

CCIってなに?

いや、詳しくは知らんけど、年齢とか、腎不全・肝障害の有無とかCOPDとか、わりと網羅的にスコアリングしてます。
詳しくはこちら

知らんのかいwww


これらの、因子を多変量解析で除外しても低握力と術後の低機能との間に相関があると言うのは、非常に興味深いです。

しかし、この論文の問題点は、
重度の認知機能低下者を除外していることです。

確かに、認知機能低下者の場合、握力検査の結果に疑問を持たざるを得ない場合があります。

また、入院後24時間以内に握力測定を行なって、その値との相関を見ているが、術後の握力測定については検討がない、つまり、術前の状態(痛みなどを伴う)での握力測定ではバラつきがあるのではないか?という点です。

それらを、検討したのが参考文献の③です。

こちらは、認知機能低下の有無によって、術後の握力測定の推移に影響を及ぼさず、ほぼ一定であることを報告しています。

握力低下は認知機能に関わらず、術後の機能低下の予測因子になりうると考えられます。

さらに、術後2週以降でそれほど変化が出ないのであれば、2週以降どこかのタイミングで計測すれば、それを予後予測因子として活用できそうだよな。


つまり、

認知機能低下の有無に関わらず術後2週の握力計測は、術後6ヶ月までの機能予後予測因子として独立して使えるのではないか?


というのが、今回学んだことになります。

ちなみに握力の値は、参考文献①は4段階評価、参考文献②はサルコペニア診断基準の女16kg、男27kgをカットオフ値として2群間比較していました。



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