お仕事整形外科医です。
注目度が高まりをみせている「骨粗鬆症」ですが、近年は生活習慣病との関係性が示唆されています。
実臨床でも、高齢男性の脆弱性圧迫骨折を診ると、その背景にCOPDや糖尿病があったりと、わりと経験する分野であると思います。
ますます、超高齢化が進行していく中で多疾患保有の患者さんは増加してくることが考えられ、今後注目度が増すと考えられます。
関節リウマチのときに、整形外科医は痛感したと思いますが、知識をアプデしていかないと、いつの間にか内科の疾患みたいになっていた!という事態にも繋がりかねません。
今回は、触りだけになりますが、生活習慣病を加味した、骨粗鬆症の治療開始基準について述べたいと思います。
- YAM80%以上かつ大腿骨近位と椎体以外の骨折がある場合
- YAMが70%よりも大きく80%未満で、FRAX(75歳未満)が15%以上の場合
- 原発性骨粗鬆症治療開始基準では経過観察だが、生活習慣病関連の場合には一定の条件下に治療開始を検討
原発性骨粗鬆症の治療開始基準
- 大腿骨近位部骨折、または椎体骨折の既往がある場合
- 上記以外の脆弱性骨折がある場合に、YAMが80%未満
- YAMが70%未満
が、主な開始基準です。
あとは、やや難しいのですが、骨折既往なしでもYAM80%未満、70%より大きい場合にはFRAXを計算して、10年の骨折確率が15%以上ある場合には治療を開始します。
下記を参照してください。
原発性骨粗鬆症治療開始基準〜フローチャートシステム〜
生活習慣病と骨粗鬆症
生活習慣病における骨粗鬆症は主に骨質悪化によるものと言われています。
糖尿病を例に取ると、AGEsというもの(整形外科医の私はあんまりよく知りませんが、糖の最終代謝産物で、様々な老化に関わる物質だそうです)が、骨質悪化に作用する、また、COPDでは全身性炎症症候群により、骨質が悪化するようです。(お気づきと思いますが、かなりざっくりした知識しかもってません)
しかし、現状では骨質を評価するマーカーがないこと、骨質不良を改善する明確な薬がないため、骨密度低下型の骨粗鬆症と治療内容がほぼ変わらないことが問題になっています。
ここにあげられる生活習慣病は、おもに、糖尿病(1型も含むようなので、生活習慣病と言っていいのかは不明ですが。。。)、COPD、CKDが挙げられます。
これらも、一色単にできることはなく、例えば、糖尿病の場合には、罹患期間が長いことが影響してくるようですが、COPDの場合には罹患期間や病期はあまり関係がないという報告があるなど、まだ、混迷を極めているとも言えます。
生活習慣病骨粗鬆症の治療開始基準
今回参考にしたガイドラインでも、あくまで、「試案」という形になっています。
試案の段階で、値段を付けて販売しているというなんとも強気な感じですが・・。
試案の内容では、YAM80%以上かつ大腿骨近位と椎体以外の骨折がある場合、YAMが70%よりも大きく80%未満で、FRAX(75歳未満)が15%以上の場合に、リスク因子があれば治療開始を考慮するというものでした。
リスク因子としては、
- 罹病歴10年以上
- HbA1c7.5%以上
- インスリン使用
- 閉経後女性チアゾリジン使用
- 喫煙
- 重症低血糖が危惧される薬物使用
- 転倒リスクが高い
- サルコペニアがある
です。
この中でも、転倒リスクの評価は整形外科医でも難しいので、内科の先生にはかなり判断が難しいのではないかと思います。
転倒リスクを評価できるツールはリハの界隈ではいくつか言われてはいますが、独立した明確なツールはないと思っています。
その点、数値化できないものをどこまで判断するかは、担当医師の裁量になってくるのではないでしょうか?
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