整形外科の中では非常にメジャーなバネ指の腱鞘内注射。
腱鞘内に注射が本当にはっているのか?謎に思う時もあります。
ほとんどA1pullyでのインピンジしていますので、そこに注射するわけですが、深度などふくめ、腱鞘内に入っているのかを確認するにはエコーが有用です。
monthly orthopaedicsに面白い記載を見つけましたので紹介します。
整形外科とエコー
整形外科の診療でエコーを用いる機会は非常に多くなりました。
- 注射の際にも可視化しながら可能
- dynamicに運動器を観察できる
- 被曝の問題がない
- 簡便
という、メリットがあります。
一方で、検者の力量に左右される部分が大きく、煩雑に感じられるところがあります。
検査時間は短くても長くても同じなのですが、慣れてくると短時間で検査することも可能であり、コストパフォーマンスも非常にいいという部分も内包しています。
肩腱板断裂など、一部の診断についてはエコーの方がMRIよりも優れている部分も指摘されており、今後さらに伸びてくると考えられます。
エコーガイド下腱鞘内注射の手技
プローブを当てる場所は、屈筋腱に平行にA1pullyの真上です。
A1pullyは屈筋腱の上にlowとして描出されます。(実際には、設定条件をしっかり合わせないと描出しにくいです)
平行法で、プローブの遠位から穿刺し、FDPとFDSの間に注射を入れます。
腱鞘内注射の効果
実は、このおはなしには続きがあります。
以前から“腱鞘内注射は、腱鞘の周囲に痛み止めをまいてくるのと、確実に腱鞘内にいたみどめをいれるのとで結果が変わらない”と意見がありました。
しかし、これまで検証した論文では、造影剤を用いて腱鞘内への薬液散布の有無を確認していたため、造影剤バイアスがかかっているのではないかという指摘もありました。
そこで、今回エコーガイド下に確認しながら、腱鞘の浅層に薬液を散布したものと、腱鞘内に散布したものを比較検討しておられました。
結果は、いづれも効果としては変わらず、注入時の疼痛は腱鞘内注射の方が強かったというものでした。
こうなると、腱鞘内に注射を入れる意味があまりなくなってしまっているとも言えます。
しかし、腱鞘の浅層に薬液を散布するのも可視化できている方がいいので、エコーガイドの意味はあると私は、解釈しています。
まとめ
よくある疾患ですが、あまりスポットライトを浴びることがないバネ指。
こういった、目からウロコもたまにアップデートすると日常診療が楽しくなります。
手術ばかりが整形外科医ではありませんからね。
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