【保険診療の溝】非定型大腿骨骨折にPTH使用は激ムズ

非定型大腿骨骨折(AFF)は、提唱された当時はビスホスホネート製剤の長期内服に関係性がある骨折と言われていました
最近は必ずしもそうでもないよねって感じです。(参考文献は下記に)

参考文献
善家雄吉ら 骨折2015; 37 (1): 5-9
ビスホスホネート製剤をかならずしも長期内服していない症例にも同様の骨折がみられることも言われています。

文献によっては、AFFの6〜7割しかビスホスホネート製剤使用者がいなかったっていう報告もあります。


AFF自体、大腿骨の外弯変形や前弯変形が強い症例が多く、転倒骨折されてきた患者さんに対してはなんらかの骨粗鬆症治療をしたくなるものです。

また、AFFや骨癒合が遷延しやすいという報告もあります。(一方で、遷延しても予後は良好というものもあるし、そもそも遷延癒合の症例は整復不良がおおかったなんて、「そりゃそうだろ」って報告もあります)

参考文献
Clinical Orthopaedics and Related Research (472), 2728–2734 (2014) KA Egol ,et al.



入院中にできるビスホスホネート製剤以外の薬剤の選択肢少なすぎ

そもそも、ビスホスホネート製剤を長期使用してこられたAFFの方には、その関与がはっきりとわからないにしても手術後にビスホスホネート製剤を継続する勇気がある人はほとんどいないのではないでしょうか?

そうすると、代替えとして使用可能なものを考えると、PTHやデノスマブ、ロモソズマブになります。

しかし、どれも、日本の急性期病院でDPCの範疇で処方するには、病院側のコストの観点から困難を極めます。

また、AFFの方はご高齢の方が多いため、骨折後に急性期の短い入院期間のみで退院できる方はほとんどおらず、多くは回復期などを経由します。

回復期になると、コスト面はさらにシビアであり、そもそも院内採用としてPTHやデノスマブ、ロモソズマブをおいている病院なんて存在しないんじゃないでしょうか?

つまり、万が一急性期で入院中に処方できてもそれを継続することは非常に困難と言わざるを得ません。

また、このような患者さんは回復期のあとに自宅に帰れない場合も多く存在し、その後の経過すら追えない場合もあります。

さらに、急性期の外来にもどってこられても、忙しい外来で骨粗鬆症治療を新規に開始するのはかなりハードルが高く、以前私がしらべた自院の調査では『入院中に骨粗鬆症治療が開始されなかった患者さんの中で、8割以上が外来で新規に始められることはなかった』という、悲惨な結果でした。

やっぱり治療導入は入院中の方が時間もあるし有利なんですよね

とくに自己注射を要するような症例では、入院中に導入・指導ができると安心なんだけどな。。なんせ保険が・・。


日本は、保険制度で守られているから・・・。という主張もよく目にしますが、医療者からするとその穴の多さに気づくことも多くあります。



新着記事

【復習】非定型大腿骨骨折を、もう一回整理し直したてみた 【ビスホスホネート製剤】中止による非定型大腿骨骨折発生リスクは毎年〇〇%低下する!? 【知らないとやばい】非定型大腿骨骨折の最新知見はコチラ。



コメントをどうぞ

    メールアドレスが公開されることはありません。*印が付いているものは必須です。