【臨床雑感】骨粗鬆症という疾患が内科医からも軽視される現実

お仕事整形外科医です。


骨粗鬆症診療は、勤務日はほぼ毎日していると言っても過言ではありません。


2012年と古いデータになりますが、潜在患者は1200万人いると試算されています。


外来診療の収益面においても、骨粗鬆症は定期的な経過観察、骨密度検査、採血検査が必要な疾患であり、治療薬もほぼ継続になるため、リハビリ点数の下げが続く整形外科領域では非常に重要な部分ともなっています。

内科でいう、糖尿病や高血圧診療に近いイメージだな

実際、継続的に再診患者さんが見込めますし、新規患者さんもたくさんおられます






容易に中止されてしまう骨粗鬆症治療薬

先日、診療していると骨粗鬆症治療薬の中止を内科で判断されたという方がおられました。


高齢者の多剤内服が問題視される中、処方をもっと軽くしようとする流れに乗せられているのだと思われますが、骨粗鬆症診療を知らない医師が安易に中止することには注意が必要です。


というのも、骨粗鬆症治療薬の中止は生命予後にも関りうるからです。


以前、お話しした内容はこちら。

BP製剤と生命予後を取り上げた記事です。
【衝撃】hip fractureと生命予後
骨折手術後早期のBP製剤介入に関する記事です。
骨折手術とBP製剤の早期使用・非定型骨折とBP製剤

BP製剤含めた、骨粗鬆症治療薬の中止が転倒率・生命予後にも影響しうることは、歯科治療の際に骨粗鬆書治療薬をどうするか?という議論の際に頻回に取り上げられ、結論としては骨粗鬆症治療薬の中止によるデメリットの方が大きいとされています。


このように、骨粗鬆症は生命予後にも関わる疾患であり、中高年の高血圧や高脂血症・糖尿病治療ともひけをとらないほど重要とも言えます。(骨粗鬆症の場合は、高齢になってからの生命予後に関わるため、より短期での影響が考えられます。)

まとめ

内科の先生からも、治療中止対象とされていることには驚きました。


正直、高齢者の場合、もっと中止しても良さそうな内科の薬もあるような気もしますが。。。


減薬を勧めるのであれば、治療薬をやめた時のエビデンス・その認知がもっと必要と考えられます。







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