知識をアップデートすることは、投資においても医学においても重要です。
お仕事整形外科医も、仕事である以上、プロとしての自覚をもって知識のアップデートに努めています。
近年、医局離れが進む中、離れた後にいかに知識をブラッシュアップできるかというのが課題にもなります。また、医局を離れる際の条件として、
- 自分で学び、臨床に生かすまでのプロトコールをつくる
- 自分の師となる人間との繋がりは維持する
- 知識をアップデートするツールを用意する
知識は、専門性に特化した深い知識を持つことも大切ですが、幅広く持ち続けることも重要であると考えています。
その理由は、
- 働くスタイルが変わった時に対応するため
- 専門外といって、整形外科疾患がわからないようなダサい医師にならないため
という点においてです。
では、私がどのように知識をアップデートしているかをお話しします。
論文・本・学会誌
論文と聞くと、英語論文のことばかり話される方がおられます。
日本語論文は頼りにならない!最新ではない!と馬鹿にされることもありますが、
- 日本語になるまでに、議論される時間がある
- やっぱり日本語の方が誤解が少なく、理解が早い(私の場合)
- 「最新」が「最適」とは限らない
その上で、知りたい知識を2つに分類して、知識をアップデートしています。
①自分が専門としている狭くて深い知識。②整形外科として必要とされる浅くて広い知識。の2つです。
①は、最新を知り、それが目の前の患者さんにとって有益かどうかを考えるベースとなる知識がありますので、英語を読む価値(時間的なものも含めて)があると考えています。
②は、それほど最新である必要もないですし、自分の専門ではない分野で、英語論文しかなく、日本でコンセンサスが得られているかどうかわからないことを、日常臨床で応用する必要はないと考えています。
その上で、②については時間的な優位性から日本語論文を用いることがほとんどです。
また、日本語になるまでに時間があることは、その間に淘汰される情報もありブラッシュアップされ日本に馴染むものだけが日本語になっているともいえます。
学会・勉強会
学会や勉強会は自分の知識をまとまった形で、短時間に得ることができるとても素晴らしいツールです。
また、全体の「空気感」から、自分の日常診療が全体の流れと大きくかけ離れていないかを確認することができます。
また、手技的なことになると、実際ライブ感がある講義のほうが伝わってきやすい部分もあり、重宝しています。
しかし、論文や本・学会誌と異なり、どこでも自分のタイミングで勉強できない、また移動に時間やコストがかかりそれを上回る効果がないといけないところが難しい部分だと感じています。
尊敬するパイセンからのアドバイス
師と仰げるような人と繋がりを持ち続けることは非常に重要です。
先輩からの教えは、最もエビデンスレベルが低く、信用が低いとされますが、最も迅速であることは間違いありません。
また、エビデンスのみを盲信することにも注意が必要と考えているため、必ずしもtraditionalな方法が負の遺産であるとも考えていません。実はエビデンスが証明したことの一つに、「エビデンスの限界」があります。
また、プラセボも半数以上の人間に効果があるとも言われています。
その点から、知識をアップデートするきっかけにもなることから、アドバイスを仰ぐこともあります。
まとめ
ご高齢の医師に、「いつから知識が止まってるんだろう?患者さんに害があるなぁ」とか、感じたことはありませんか?自分が働く環境でお荷物にされているのに、誰も指摘できないという状況は悲しいものです。
そうならないためにも、医師は常に知識をアップデートする必要があり、自分でそのスタイルを構築する必要があります。
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