数年前から、日本整形外科学会では運動器の10年として、運動器疾患の啓蒙活動を行っています。
これまで、厚生労働省は10年ごとに疾患をきめて、その啓蒙活動を行ってきています。
運動器は、この10年という疾患に2度連続で選出されており、その重要性を啓蒙しているところです。
しかし、2度連続で選出されることは、それだけ注目度が高いという反面、逆に10年でその疾患重要性に見合うだけの啓蒙がなされなかったために、延長されたという不名誉な考え方も可能です。
日本人の意識の中にある、メタボはいけないという意識
医療関係者でなくても、メタボリックシンドロームは知っている人が多いと思います。
元来、脳卒中や心筋梗塞で死亡する頻度が多かった日本人に高血圧・高脂血症・糖尿病などの疾患意識を広め、将来脳卒中は心筋梗塞を防ごうという、流れの中で啓蒙活動が功を奏した分野になります。
おかげで、脳卒中の発生率は以前よりも低下したと認識しています。
また、健康意識も高まり、我々の親世代の頃よりも太った中年を見ることは減ったようにも感じます。
さらに、健康診断でも高血圧・高脂血症・糖尿病の項目は重視されるようになり、一般の方でもその疾患を認識するようになっていると感じます。
運動器疾患に対する認識の甘さ
一方で、運動器疾患については、上記の内科疾患と比較してその認知度に差があると言わざるを得ません。
医療現場では、脳卒中が減り、平均寿命が増えたいま、運動器疾患の重要性は以前よりも感じるようになりました。
2000年より導入された、介護保険ですが、要介護状態になる原因疾患として、以前、脳卒中や心疾患が多い中、75歳以上という年齢を区切った見方をすると、骨折や変性疾患などを含めた運動器疾患が原因として1位になります。
また、運動器疾患の一番怖いところは、それが病気であるという認識が持ちにくいところです。
特に変性疾患の場合、長い時間をかけて徐々に活動する場所が狭まってくるため、病気というより「年のせい」にされてしまいがちです。
本当は、介入すればその進行スピードを落とすことができるのに、放置されてしまいがちです。
しかし、完全に進行してしまうと、本人の年齢・内科疾患の併発も合わさり、治療の選択肢が少ない、また、リハビリで戻そうにも、年齢が高いと戻しにくい、戻せない、戻すのに時間がかかるというのが現状です。
まとめ
整形外科は超高齢社会において、その重要性が減ることはまず考えられません。
むしろ、日本が働き手世代を増やすために、退職年齢を引き上げにかかっていることからも、今後ますます必要性が増えるとも考えられます。
しかし、医師になったからそれで安定・安心ではありません。
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医療保険自体、日本の財政を圧迫している主犯のように言われているため、今後も診療報酬がどう動くかはわかりません。
医療者として、学に励むことは当然として、さらに、集中投資をさける・リスクヘッジの意味でもマネーインテリジェンスをつける必要はあると思います。
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