皮膚縫合は、私のなかではあまりアップデートされることがない分野だったのですが今回、骨折治療学会誌にてAllgöwer‒Donati 法という方法を見つけましたのでご紹介します。
引用
Allgöwer‒Donati 法を用いた下肢骨折手術の皮膚縫合
都立多摩総合医療センター整形外科 伊賀 徹ら 骨折 第41 巻 No. 4 2019 P1442-
Allgöwer‒Donati法とは
垂直マットレスの変法で、創縁の血流維持に有利とされています。
その方法自体は、垂直マットレスを知っているものとしては実にシンプルで、垂直マットレスの開始側ではない、反対側を表皮上に針を出さずにマットレスのような運針をするというものです。
実は、以前骨折分野で日本で大変高名な先生のところに見学に行った際に、この縫合方法をしているのを見ていました。
その時は、「単なる文化かな?」くらいで見ていましたが、さすが、そこには理由があったことを初めて知りました。
Allgöwer‒Donati法の注意点
しかし、この方法にも注意点があります。
他の縫合と同様の注意点でもありますが、縫合後に創縁が蒼白な場合には2期的に閉創すること。
より血流が悪そうな側(骨に近い側や・L字皮弁を起こした際には皮弁側ではない側)を開始点としないこと(より血流の良さそうな方から開始する)などがあります。
また、縫合糸をかけておいて、結紮する糸の周囲を助手に持たせて創縁を寄せて結紮するなどの工夫も必要なようです。
まとめ
この方法は、皮下組織が薄い膝から遠位ではより推奨されています。
もちろん完璧な方法ではありませんが、これまで踵のL字皮弁など創縁に不安があるもの、腓骨の外側プレートで創の直下にインプラントが来るものなどは、適応を考えてもいいと思います。
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