【骨粗鬆症治療薬】治療のスイッチによる影響

骨粗鬆症治療って、ちょっと前まで、骨吸収抑制剤で改善なければ骨形成促進剤みたいな流れでしたよね。
現在は、低骨密の人は早期から積極的に骨形成促進剤を使用していくんだわ。


この時点で置いていかれてる人は、確実にこの記事を読みましょう




骨粗鬆症のゴール目標とは?

骨粗鬆症の治療にも目標を設定がされています。

  • 腰椎or 大腿骨近位部のT-sore2.5(YAM値約70%)以上
  • 第一選択薬は3から5年で目標達成を目指せるものを使用する
  • 治療の中止・変更・継続は治療目標の達成に基づいて行う

参考文献
Cummings SR ,et al ; JBMR 2017

とはいえ、骨密度が高度に低く、目標達成が困難と思われる人にも、骨折抑制効果はみられています。

大腿骨近位部で4%、腰椎で8%骨密度が上昇すると骨折リスクは大腿骨で約30-40%低下、椎体で50-60%低下する

参考文献
Bouxsein M L ,et al ; JBMR 2019

ですので、いくら骨密度が低くても、治療はしたほうがいいと言えます。

BP to BP

同じBP製剤でも、骨吸収抑制効果に差があります。

アレンドロン酸(ボナロンなど)よりもミネドロン酸(リカルボンなど)の方が、骨吸収抑制作用が強いと言われています。

BP製剤間での比較
  1. 治療開始からアレンドロン酸を使用して1年まで継続したもの
  2. 治療開始から6ヶ月でアレンドロン酸をミノドロン酸に変更して、1年まで継続したもの

*関節リウマチ患者を対象としています、

では、ミノドロン酸へのスイッチを行なったものの方が1年時点での腰椎の骨密度がたかかったことが示されています。

つまり、おなじBPの中でもより強力に骨吸収抑制作用が働くと考えられる薬剤の方が、腰椎の骨密度は上がりやすいというわけです。

参考文献
Ebina K ,et al ;Osteoporosis Int 2015

BP to テリパラド vs デノスマブ

BP使用患者にBP継続群とテリパラチド変更群とデノスマブ変更群の3群比較で18ヶ月観察

  • 骨形成においてはテリパラチドへの変更の方が上昇
  • TBS(後述)の変化はテリパラドの方がデノスマブよりも改善が大きい
  • BP継続はTBSの低下が起こる
  • デノスマブはTBSを維持していた

TBSは「trabecular bone score」のことであり、 骨微細構造を見るもの。骨密度とは別にうごく指標であり、近年はこちらの方が骨密度測定よりもいいんじゃないって言われてるみたいです。
BP後はTBSを考慮するとテリパラチドがいい。デノスマブに変更がその次。BP継続のみだとTBSの低下が生じる(骨密度は維持されるけど)

参考文献
Ebina K, et la; JBMM 2018


また、

  • 海綿骨の多い、腰椎ではBPからデノスマブに変更よりもテリパラチドのほうが骨密度改善効果が良い
  • 皮質骨の多い、大腿骨ではBPからデノスマブに変更した方が素早く骨密度が増加する。 テリパラ地どは一旦低下
  • 皮質骨の多い、大腿骨ではBPからテリパラチドに変更すると、骨密度は一旦低下し、BP継続を下回る。その後、   18ヶ月でデノスマブにおいつく

テリパラド to デノスマブ vs デノスマブ to テリパラチド 
どっちが先よ問題  

48ヶ月の調査で24ヶ月時点でそれぞれをスイッチした場合にどうなるか?の研究です。

  • 48ヶ月時点では、テリパラチドからデノスマブに変更した方が大腿骨近位部の骨密度は上昇した
  • デノスマブからテリパラチドに変更した群は36ヶ月時点まで大腿骨近位部の骨密度が一旦低下し、その後上昇に転じた
  • デノスマブからテリパラチドに変更した群は48ヶ月時点でやっと、デノスマブ使用中の24ヶ月時点まで骨密度が回復


参考文献
Leader BZ, et al. Lancet 2015

つまり、大腿骨近位部の骨密度だけで考えると、テリパラチド先に使用して、デノスマブに変更した方が良さそう。

テリパラチド終了後は、デノスマブ? BP?問題 

テリパラチド終了後12ヶ月までフォローした研究。BPはアレンドロン酸。

  • BPでもデノスマブでも、腰椎の骨密度は上昇をつづけた
  • BPよりもデノスマブで、腰椎の骨密度の上昇が顕著


テリパラチド後は、BPよりデノスマブの方がよさそうね。

参考文献
Ebina K ,et al;JBMM 2016


テリパラチド後はデノスマブの方が良さそう・・・。

ロモソズマブに切り替えるのは、BP・デノスマブ・テリパラチドのどれから切り替えが良い?それとも未治療からの切り替え?

切り替え後、12ヶ月経過観察した結果、腰椎の骨密度変化率 

  • BPからの切り替えで10.2%上昇
  • デノスマブからの切り替えで6.4%上昇
  • テリパラチドからの切り替えで11.2%上昇
  • 未治療からの切り替えで18.2%上昇


参考文献
Ebina K ,et al. Bone ;2020
Ebina K ,et al Join Bone Spine; 2021

デノスマブからの切り替えはイマヒトツ。テリパラチド・BPからの切り替えは上昇率高め。
最も値が大きい、「未治療」からは上昇率だと大きくなりがちだと思います。

デノスマブ終了後はBP?ロモスマブ?

デノスマブ終了後に逐次治療を開始しないと、骨密度が急激に減少することが知られています。

また、デノスマブからテリパラチドに変更した際には、大腿骨近位部の骨密度が一時的に低下するリスクが言われています。

今回、ロモソズマブをデノスマブ終了後の逐次治療として使用した場合にどうなるか?という問題です。

結果としては『ロモソズマブ初回投与のような骨密度上昇は見られないが、骨密度低下は抑えられた。』

なので、逐次治療としてのロモソズマブは、アリと思われます。

投与方法としても1ヶ月に1回の皮下注射は、服薬コンプライアンス不良+静脈確保困難な人には一つの選択肢(ただし、基本は12ヶ月)



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