お仕事整形外科医です。
骨粗鬆症と生活習慣病についての続きです。
生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド改定をめぐって
先日もお話ししましたが、骨粗鬆症と生活習慣病の関連は近年盛り上がりを見せています。
代表的なところとしては、糖尿病・COPD・慢性腎不全がよく見受けられますが、確かに、実臨床でも男性骨粗鬆症の患者さんのなかにこれらの基礎疾患を抱えておられる方が多く存在している印象を受けます。
- 糖尿病における骨折リスクの増加はどれくらい?
- COPDにおける、骨粗鬆症発症時期?
- 活性型ビタミンD3に期待される、骨質維持効果
糖尿病における骨折リスクの増加はどれくらい?
この点においては、様々なメタ解析がされているようで、糖尿病患者さんに骨密度の検査をし、そこから割り出される骨折リスクを計算したところ、1型糖尿病で約1.4倍、2型糖尿病で約0.8倍とされています。
この数字だけでも、ある程度骨折リスクが上がることが予想されますが、
さらに興味深いのは、実際の骨折で検討したところ、1型糖尿病で約7倍、2型糖尿病で約1.4倍であったという点です。
骨密度から起算されるよりも、実際の骨折の方がリスクが高くなったと言うことは、骨密度以外の因子による骨折リスク増加因子が影響していると考えられれます。
その一つは、やはり「骨質」だと思います。
しかし、骨質は評価ツールがないこと、骨質が悪いと分かっても結局やれる治療は骨密度低下に準ずることが多いことが問題点です。
COPDにおける、骨粗鬆症発症時期
もう一つ、注目だったのが、生活習慣病と一括りにいっても、その疾患によって特徴があると言う点です。
糖尿病の場合、ある程度の罹患期間が骨粗鬆症の発生に影響を及ぼしていそうでしたが、COPDの場合は病期によらず、割と早期から骨粗鬆症の発生が見られるようです。
こうなると、ステロイド性骨粗鬆症のように、将来的に別カテゴリーとしての診断・治療開始基準が必要になってくる可能性があります。
たしかに、COPDの患者さんの多くで見られる、喫煙が全身性炎症症候群を起こしやすい側面を考えると、納得ではありますので、喫煙している、その期間が長いと言うだけですでにリスクなのかもしれません。
その点では、喫煙期間と本数で骨粗鬆症治療開始!みたいになるかもしれません。
また、逆の視点から見ると、「椎体1つの骨折につき肺活量は9%低下する
骨折の予防はCOPDの予後を改善する可能性がある
活性型ビタミンD3に期待される、骨質維持効果
今回参考にしたセッションの中で、骨吸収抑制剤による、低骨代謝回転からの骨質不良について、活性型ビタミンD3製剤がその予防に効果がありそうとのことでした。
私も、ほぼ全例で併用していますが、in vitroでもこのようなデータが上がってくるのは、とても有用だと思います。
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