橈骨遠位端骨折は、日常診療で非常に多く経験する骨折です。
若年からご高齢者まで幅広く骨折されますが、50〜60台の女性の橈骨遠位端骨折は骨粗鬆症が隠れていることを念頭とした診察が必要です。
”骨粗鬆症治療は1日にしてならず”
私の勝手な言葉ですが、実際に骨粗鬆症治療開始から骨折予防効果が現れるには1年以上かかるというのがデータとしてもあります。
その点を含めると、早期発見、早期骨粗鬆症治療介入を開始することが肝要です。
検診と骨粗鬆症
骨粗鬆症検査を検診として行うことのメリットは以前から論じられています。
ガイドライン上でも、FRAXを骨粗鬆症検診に含めることや、骨量測定も含めた1次検診の必要性が論じられています。
費用対効果についても検討されています。この研究は仮説やどこを効果的とみなすかによっても、随分変わってくるようですが、検診を費用対効果面においても支持するものとそうでないものがあるようです。
いずれにしても、椎体骨折の既往のある人への検診は効果があると判断されるようです。
ですが、椎体骨折の既往がある時点で検診もなにも、骨粗鬆症ではないか?というツッコミができそうな気もします。
骨折があっても、骨粗鬆症診療に対する医師の意識の低さを感じざるを得ません。
橈骨・椎体・大腿骨における骨密度の低下の違い
実臨床では、圧倒的に橈骨→椎体→大腿骨の順に骨折が連鎖しているように感じます。
しかし、これまで実際に3点を比較し、年齢による変化を調査した論文は渉猟する限りしりませんでした。
今回、中部整形外科学会誌に掲載されていた論文を引用します。
どうしても同患者を時系列で追うことはできていませんが、参考値としては十分かと考えられます。
結果は、橈骨遠位1/3が柵に減少しており、50代から60代に急降下していました。
このことからも、脆弱性が懸念されるような受傷起点での橈骨遠位端骨折は、骨粗鬆症を念頭に治療をする必要があると思われます。
まとめ
今後さらに高齢者が増える中で、どのステージで骨粗鬆症をつかまえて治療を開始するかという問題は増えてきます。
高齢者で、頭はしっかりしているのに、痛みがつよい。腰の曲がりがつよい患者さんは毎日がとても辛そうに見えます。
BP製剤は生命予後の改善にも寄与しているということがわかっている以上、骨粗鬆症の診断治療にはもっと積極的であるべきです。
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