骨の強さは、骨質と骨密度に依存すると言っておきながら、検査、治療ともにほとんど骨密度に依存しているのが現状です。
これまでも何度か骨質評価については、まだまだ追いついてないってことを説明してきましたが、最近生活習慣病関連の骨粗鬆症が注目されるようになってくるにつれて、骨質不良が注目を集めるようになっています。
生活習慣病関連骨粗鬆症は、主に骨質の劣化が原因と考えられています。
それらを疑う基準として、
- CKD(慢性腎臓病)stage3以上
- DM HbA1c7.5
が、言われています。
引用
生活習慣病骨折診療ガイド
骨質不良は、骨のペントシジン(AGEsの一種)が増加することが問題になり、実臨床では尿中のペントシジンを測定することで判断することになりそうです。
現段階では、保険適応はありませんが将来的に注目を集める検査項目です。
今回、このなかに、腹部大動脈の石灰化所見が加わりました!(自分の知識に)
確かにいままで見てはいたけど、役に立つ日が来るとは!!!
参考文献
Szulc P, JBMR 2008
腹部大動脈石灰化
腹部大動脈の石灰化は、レントゲンの側面像でたびたび撮影されてきます。
今回参考にした文献ではACSスコア6点以上の石灰化所見が認められた場合には骨折リスクが2から3倍に上昇するというものでした。
ACSスコア
ベースラインの腰椎側面X線写真で半定量法により評価。第1~4腰椎に隣接する腹部大動脈の石灰沈着は、椎体の上下の椎間の中間点を境界として、大動脈の後壁と前壁を評価。後壁と前壁のそれぞれのレベルに応じた重症度スコア(0〜3)を加算して、0〜24の範囲で腹部大動脈石灰化スコア(ACS)を算出
ちょっとよくわかりにくいかもしれませんが、要は、血管を椎体のレベルで4つに分けて、前後壁(2つ)で分けてここまでで8箇所。
それぞれに0から3点の石灰化の重症度をつけて、8×3=24点がマックスというわけです。
こちらの詳細な文献は別になります。
参考文献
New indices to classify location, severity and progression of calcific lesions in the abdominal aorta: a 25-year follow-up study ,Atherosclerosis. 1997 Jul 25;132(2):245-50
上記文献からの引用ですが、下図のように、石灰化がないもの(0) 、あるけど一部だけなもの(1)、segmentalなもの(2)、全体的なもの(3)にわけています。
元の文献では6点以上なので、組み合わせで考えると
- 1椎体に前後3点以上
- 3椎体で前後1点以上
- 2椎体で前後2点以上(8点ですけど)
レントゲンの腰椎側面像は、骨粗鬆症の診断でも確実に撮影しますので、ついでにわかるのは非常に有益です。
骨質改善に対する治療は、長くなったのでこの記事では触れません。
今度小出しにしていきます。
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