またもや、最新号のJOSKAS雑誌ネタです。
肩関節疾患は日常診療でかなりの頻度で遭遇するにもかかわらず、個人的には下肢を扱うことが多いためすこし勉強不足です。
肩関節鏡は助手でしか入らないので、なかなか手術手技の細かいところまでは勉強が至らないこともあるのですが、診療において手術のタイミングを悩むことが多く大変参考になりました。
凍結肩の自然経過
論文中にも引用されていましたが、以前は「凍結肩は自然治癒するもの」という認識があったようですが、近年は平均4.4年で41%の患者に症状が残存し、うち6%では強い疼痛や機能障害を有しているとされています。(Hand C , et al. J Sholder Elbow Surg 2008 ; 17 :231-236)
一方で、保存療法でも90%に満足が得られている、手術は7%のみと報告があります。(肌感覚としては、もっと手術している気もしますが・・。)
凍結肩手術前罹患期間1年以内と1年以上で成績に違いは?
引用した論文中では、難治性凍結肩に関節鏡視下関節包切離を行うタイミングを1年以内と1年以降に分けて比較しています。
患者背景としては男女比、平均年齢は有意差なし。評価項目はVASと自動可動域でした。自動可動域は1M,3M,6M,12M(1Y)で検討しておられます。
結論としては、術後1Y時点ではVASにも自動可動域(屈曲・外転・外旋・内旋)において、両群間で有意差はありませんでした。
課題
今回の引用文献の特徴は、評価項目がVASと可動域に限定されていることです。
これに筋力評価を加えるとどうなってくるか?は不明です。
仮説としては罹患期間が長いと筋萎縮が進行して、筋力に差が出るのではないか?と考えています。
すこし余談ですが、「外傷後の関節拘縮に対しては6ヶ月くらいまでは可動域がぐんと伸びでその後はあまり変化がでません」って説明していることが多いのですが、凍結肩の鏡視下関節包切離術後は6ヶ月以降1年までも可動域が伸びている部分があって、これも新しい発見でした。
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