お仕事整形外科医です。
ロコモーティブシンドロームは整形外科医の中では以前から重視されていますが、非医療者からはなかなか重要とされない部分です。
とりわけ運動器にかかわる移動能力の低下が高齢者で生じていても、「生理的な老化の1種」のような表現で、軽視されている局面に出会すことが多いです。
- ロコモの指標のここがすごい
- なぜ、これほどまでに軽視されているのか?
- 説明する上で使える言い回し
ロコモ、サルコペニア、フレイルの位置付け
ロコモーティブシンドロームに近い疾患概念として、フレイルやサルコペニアがあります。
それぞれ定義が異なるので、おなじカテゴリーに入れることは間違いかもしれませんが、オーバーラップする部分があることは以前から言われています。
具体的には、フレイルであれば運動器のフレイル、サルコペニアは筋量と筋力の問題であるため、運動器に直結します。
やや乱暴ですが、無茶苦茶簡単に言うと、
・サルコペニアは筋肉量の減少が必須
・フレイルは臓器特異性がなく、状態を表す言葉 弱り具合を指す
*ロコモの中の一部に、サルコペニアが入り込んでいるイメージ
*ロコモに老年疾患も加えて、身体的フレイル
*フレイルは身体的問題のみではない
*身体的フレイルにサルコペニアやロコモが含まれる
です。
ロコモチェックのよさ
ロコモ1は、サルコペニアや身体的フレイルに先んじて運動器の脆弱化を捕まえることができると言われています。
確かに、概念をみても、サルコペニアは筋肉・筋力への注目度が高く、関節や実際の移動という視点での注目度の低さを感じます。
フレイルに至っては、疾患が完成してからという印象をうけますの。
このため、予防という観点に着目した場合には、ロコモチェックが一番有用となります。
ロコモを啓蒙する上での大事な言い回し
ロコモーティブシンドロームの名前の起源?とも言える、「メタボリックシンドローム」啓蒙活動の甲斐もあり、多くの国民が病気であるという認識をもち、脳血管系疾患の減少などに寄与しています。
一方、ロコモーティブシンドロームには、いまだ「疾患」としての認知がありません。
平均寿命が延伸し、健康寿命が叫ばれている中でもまだまだ啓蒙が足りておらず、外来診療では患者さんとの温度差を感じることもしばしば経験します。
65歳以上になると、要介護の原因疾患として最も多いのは運動器によるものです。
この辺のパラダイムシフトを知らずに、血圧やコレステロール、血糖値ばかり気にされているご高齢者を多く見かけます。
もちろん、これらも大事ですが、運動器疾患への注目度も上げていかないといけません。
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