お仕事整形外科医です。
RSA(reverse sholder arthroplasty)は日本で広がってきています。
もともとは、高齢者の広範囲肩板断裂や肩関節の変性に対して行われることが多かったのですが、近年は骨折分野への適応も考慮されてきているようです。
そもそもTSA(total sholder arthroplasty)ではなく、RSAのような特異なインプラント形状が受け入れられてきているのには、理由があります。
RSAの大きなメリットは、上腕肩甲関節の回転中心が従来の解剖学的位置よりも肩甲骨関節窩に設置される(内方化する)ことにより、三角筋によるモーメントアームを延長して、三角筋機能を最大化して肩を挙げるという点です。
肩関節は肩板断裂、変性にともない、骨頭中心が上方化していきます。
そのため、三角筋も聞きにくくなるのですが、RSAはやや下方に設置することにより、これも三角筋の筋力を活かす方向に働くのです。
笠間 啓樹ら 骨折 第42 巻 No. 4 2020 1292-
本当はあってるかどうかドキドキしてます
- RSAは今後、高齢者の上腕骨近位部骨折にも適応が拡大していく?
- 骨接合との適応の境目は?
- 参考文献からみた、適応は?
上腕骨近位部骨折と高齢者
高齢者の脆弱性骨折の中でも頻度の高いものの中に、大腿骨近位部骨折、椎体骨折、橈骨遠位端骨折と肩を並べるものが、上腕骨近位部骨折です。
高齢者の場合、上肢が下肢と同様に移動のキーとなっていることがあります。
実際、上肢に依存して立ち上がり、杖や伝い歩きをしながら歩行している人は多く見かけます。
このような方は、若年と同様に、「移動には関わらないから、早期使用の必要性はない」と手術適応から外してしまうと、早期にADLが低下し不可逆的になることがあります。
確かに、骨接合をしても荷重という意味では早期に行うことは結局できないことが多いのですが、三角巾固定が早期に外せるだけでも、ずいぶんその後は異なります。
さて、高齢者の上腕骨近位部骨折ですが、脆弱性が強く、骨接合しても、その固定性に疑問が残る例は確かに存在します。
また、解剖頸骨折の場合には、さらに近位骨片が小さく固定に難渋します。
以前からTSAが適応されることはありましたが、その術後成績は満足のいくものは得られなかった印象があります。
高齢者の場合、そもそも棘上棘下筋などの肩板がウスウス、もともと機能していたのか?と思う症例もみられ、それをリペアする意味合いも問痛くなる症例もあります。
高齢者上腕骨近位部骨折の手術適応
そもそも、石黒法でしられる、石黒先生は、4partでも保存治療で良好な成績が得られるとしています。
しかし、1日1000を超える振り子運動を行う必要があり、社会的な背景を加味して適応を熟考する必要があります。
また、今回取り上げたRSAも果たして、どのような症例に今後適応が広がっていくのかでずいぶん、扱われ方が違ってくると思われます。
大腿骨を例にとると、頚部骨折の場合は不安定型が一般的には人工関節が選択されます。(FHRや近年はTHAも行われています)
上腕骨の場合には、骨頭壊死の観点の類似性を考えると、解剖頸骨折が大腿骨の頚部骨折にあたるかな?ともおもいます。
また、そう考えると、外科頸骨折は転子部骨折にあたるのか?ともおもわれ、そうすると適応はかなりの粉砕例に限られる。といった理論の流れとなります。
(もちろん肩と股関節は違いますので一概にそうとは言えませんが・・・。)
今回参照にして文献でも、75歳(もともとのRSAの適応年齢の問題かとおもいます)、女性(粗鬆骨の問題)、大結節骨片が3個以上に粉砕するような高度粉砕例とされていました。
除外として認知症をあげているのが特徴で、術後リハビリが可動域獲得に重要であるためのようです。
まとめ
RSAは日本に導入された時点で、手術適応を厳格化し、術者基準をもうけたことで、受け入れられてきている側面があると思います。
今後も、骨折への適応を含めて、慎重に広がりを見せてくると、さらに日常的な手術になるのではないかと考えます。
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