お仕事整形外科医です。
私は、大学で学び、市中病院も経験して医局を離れました。
医局を離れる年は、大学にいたのですが、その後のことを考えていくつかの準備をしていました。
そんな私でも、医局を離れる際に心残りだったことがあります。
- 医局を離れる前に、症例の整理・資格の取得の準備はしとけ
- 医局を離れる前に、自分で知識をアップデートできるツールを知っとけ
- 医局を離れるときに、唯一心残りだったことは教育
転職サイトには繋ぎません
- 転職斡旋サイトを紹介して、紹介料をもらう行為
- バイト斡旋業者を紹介して、紹介料をもらう行為
- 大切な人に勧められないものを、紹介料のために紹介する行為
医局を離れる前にやるべきこと
症例の整理
自分が経験した症例は財産です。
専門医資格の取得や継続のために、症例の提出が必要な学会がいくつかあります。
また、その際に責任者のハンコが必要な学会もあるため、医局を離れる前に事前に取得しておくことをお勧めします。
いくら円満に退局できたとしても、退局後は医局に顔を出すのは億劫なものです。
とりにいったところで、特にいい顔をされるわけでもないと思いますし、物理的にも距離が遠い場合には尚更です。
また、個人的には手術簿をすべて、PDFで保管しています。
雇用側としては、医師の就職は大きな判断となります。
しかし、判断材料として絶対的に利用可能なものがないというのが現場です。
よく、医師のキャリアや実力を示すものに論文数やIFが用いられますが、大学の医局も関係ない・運営主体が公立でないところだと論文数が多いからといって、雇用主の需要に合致するとは限りません。
私は、一つでも参考材料になるようにとおもい、手術簿の全記録を提出できるようにしてあります。
とはいえ、私の場合は割と人当たりもよく、キャラクター的にとっつきやすという特性がありますので、手術簿が決め手となっている感じは、あまりしません。。。(小声)
自分が「学ぶ方法」を学んでおく
大学にいると、いろんな方法で新しい情報が入ってきます。
医局にいることにはめんどくさかったカンファも、医局をでるとありがたみが身に染みます。
大学は教育機関でもあり、誰かが教えてくれる環境が当たり前になっている部分がありますが、医局をでるとさらに、自分から学びを求める姿勢をとらないと置いていかれます。
なので、大学にいるうちに、最低限の知識をアップデートできるための方法を学んでおくことをお勧めします。
個人的は、全世界的に最新でなくても、日本のなかで常識になりつつあることを抑えるくらいのスピード感の知識でいいと思います。
理由は、
- 世界規模で先鋭的な論文・内容は、日本で受け入れられるかどうかわからない
- 最新すぎる情報は、早期に否定される可能性も残っている
- 上記をふくめると日本語になるくらいがちょうどいい
この点については、こちらの記事もご参照ください
【考え方】クソださいと言われる「日本語論文」を好む理由
正直、日本語論文をそれほど読んでないのかな?と思う医師はたくさんいますし、医局にもいました。
海外論文のよさも、私も博士号を取ってますので十分承知ですが、日本で一般臨床をするにはそこまで必要ないことがおおく、また時間対効果を考えても、個人的には読むことが減りました。(日本語論文の孫引きとして読むことはありますが、、、。)
医局を離れて唯一心残りなこと
医局を離れるときに、唯一心残りだったことは、後輩への教育についてでした。
教えてもらったことを後輩につたえきれたという感じがしなかったのです。
しかし、後輩は毎年入ってきますから、教育には終わりがないということにも気がついていました。
もともと教育自体は嫌いではなかったですし、後輩からもそこそこ慕われていた(うぬぼれ?)気もしていましたので、余計に心残りでした。
先輩から教え伝えられたことを後輩にも伝えきれたかどうか?はいまだにわかりません。
なので、私は、Twitterや本のセルフ出版をとおして教育活動を続けています。
以前のように、伝える相手の顔が見えることはありませんが、だからこそ伝えられることもあります。
出版している本の中には、「当たり前のことをかいているだけ」、「知っていて当然」、「お金を払う価値はない」といったご批判もいただきます。
しかし、当たり前だから伝えなくていいというのは違うと思います。
https://twitter.com/OrthopOshigoto/status/1301537883438739458
当たり前は、重要であるが故、何度も確認してもいい事項です。
当たり前だから周知徹底されているとは言えず、いまだに当たり前が守られていないことによるインシデントがあとを断ちません。
また、ある人にとっての当たり前は、他の人にとっての当たり前とは限りません。
教育する側が「あたりまえ」と決めつけてしまうことは、これらの理由からいささか危ない印象を受けることもあります。
まとめ
医局をやめるのは一大行事です。
フリーになるということは、通常は後ろ盾してくれる組織がなくなり自分の腕一本で仕事を得ていく覚悟を持った方がいいと思います。
最近では、医師の転職サイトも充実しており、転職におけるサーチや交渉をほとんど代行してくれます。
バイトを探すときに使用するのは「アリ」かな?と思いますが、常勤先に近い仕事を探すときには、利用してもいいですが、最後は自分が舵を切るという意識を忘れてはいけないと思います。
見たことも会ったことない医師とネット上で繋がり、転職を促され転職。仲介した医師にマージンが入り、自身の身の振り方を間違えるという状況だけは避けるように注意してください。
医師であっても、労働市場はそれほど甘くありません。
都会と田舎労働事情も大きく異なります。
SNSなどでは、「なんかあれば労基に駆け込めば・・」などという、やや過激な文言が見られますが、これは、働き口がたくさんある場合、つまり、労働者が有利な場合に言えることです。
たしかに、権利行使はするべきで、度をこえてブラックなところには居続けるべきではないですが、2言目に「労基」では、雇用してもらえません。
医局の関わりが根強くのこる田舎では、働き口には制限がありますので、この辺は働く場所によってわきまえる必要があります。
ただし、現在のQOLは大学の医局に所属していたときとは、雲泥の差です。
人間としての魅力やホスピタリティがあれば、医局を離れるのは、田舎であっても選択肢の一つです。
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