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【有用】高齢者の運動療法のまとめ

お仕事整形外科医です。


高齢者に運動療法なんておこなっても、メリットねーだろって、声が聞かれます。


実際、運動と一口に言っても、手をあげたり、グーチョキパーなどの、いわゆる「体操」と、筋力強化を目的としてある程度の負荷をかけた狭義の「運動」は別物と考えた方がいいと思います。


デイサービスで一般的に提供されるものは「体操」に近く、デイケアで提供されるものは「運動」に近いかと考えます。


高齢者に運動を指導する上で、私自身もどのような効果があるかを説明できなければ意味がありません。


また、高齢者の場合には特に、「安全性」が重要視されます。


その点を踏まえて、いくつかの運動をピックアップしました。






高齢者に対する運動療法の有効性

日本サルコペニア、フレイル学会誌2017 6 Vol1 No1からの孫引きです。


後期高齢者の年齢でも、最大筋力の80%のレジスタンストレーニングを10週間実施した結果筋肥大はなかったが、筋力の向上が認められ、運動機能やバランス機能が改善した。

70歳以上のサルコペニア肥満高齢者を対象とした試験で、運動+栄養、運動、栄養、健康指導に分けて比較 通常歩行速度、ストライド、歩数などの項目で有意に運動+ 栄養がいい。
など、「高齢者だから」「サルコペニアだから」といって、運動療法の効果がないというわけではありません。


高齢者の運動療法は、最も副作用がなく効果が期待できる治療と位置付けられています。


体幹筋力トレーニングとしての、背筋運動

腰痛の際に用いられる、いわゆる「枕体操」では、お腹の下に枕をいれて、体幹を持ち上げる運動ですが、高齢者の運動としても有効です。


高齢者の場合、脊椎の後弯の程度はQOLと優位に関連すると言われています。逆にQOLを低下させる因子は腰椎の可動性と背筋力とも言われ、脊椎後弯の患者に対しての運動療法は可動性と背筋力の改善を標的にした運動療法が有効と考えられています。


うつ伏せに寝て、おへそより下に枕を挟みます。あごを引いて、上半身をゆっくりとおこし、約10cmあげたところで約5秒間止めます。上半身をあげられない人は、この位置まで上がらなくてもOK。上半身を起こすように、背中の筋肉に力を入れます。このときに同時にお尻をすぼめると、お尻の筋肉も働き、効果的です。


注意点は、頚のみが伸展してしまう人がいるため、頚部の疼痛を誘発してしまう可能性があります。


顎を引いて行うように指導します。

膝のSLR運動

膝のSLR運動は、日本整形外科学会のHPにも記載があるほど、超有名な膝OAに対する運動療法です。


実際に文献上で調べてみると、まずガイドラインベースではOARSIガイドライン、これをベースに日本の診療に適合させた日本整形外科学会ガイドラインともに運動療法はSOR(推奨強度)は90越えで、5段階評価Aの、「行うように強く推奨する」に該当しています。


日本運動器リハビリテーション学会主導で行われた、RCTでは

  • 8週時点でNSAIDSと疼痛スケール・WOMAC・SF-36などで同等
  • 一部、JKOMなどは運動療法の方がNSAIDSを上回る
  • 高齢者のNSAIDS使用をしにくい状況を考えると、運動療法に軍配が?
運動療法の内容は、SLR運動を20回ワンセット・1日朝夕2セットずつ8週間介入するもの。


参考文献
変形性膝関節症に対する大腿四頭筋訓練の効果に関するRCT 国立身体障害者リハビリテーションセンター 岩谷 力,赤居 正美 リハビリテーション医学2006 ; 43 : 218 ―242
ただし、内容を精査すると、


  • N少なめ
  • 年齢が平均60代と比較的若い
  • KL分類がどの程度が記載がない(「分類した」とはあるけど、、)

個人的には、運動指導する年齢が「もうすこし高齢の人」にすることが多いので、年齢が低めなのが気になるのと、KL分類が書いてないのは痛い。
また、この論文の中にある、参考文献の中にシステマティックレビューがありました。
参考文献
Fransen M, McConnell S, Bell M : Exercise for osteoarthritis of the hip or knee. The Cochrane Database of Systematic Reviews 2001
要約しか読んでませんが、膝OAの人への運動療法は疼痛軽減、身体機能向上に有用との結論です。


一方で、その種類や強度などについてはデータが不十分であったとの結論です。

ダイナミックフラミンゴ(片足立ち)

高齢者の骨密度の改善と、転倒回数の低減効果が報告されています。


易転倒性が懸念される症例では積極的に行うことが推奨され、その場合には、安全確保のために机や壁に手をおく、後ろに椅子を置いておく、介助者をおくなどの配慮が必要です。


ロコモに対する、ロコトレとしても採用されており、非常に有用と考えられます。


片脚立位を1回両足1分ずつ、1日3回行うのみ。

その他のロコトレ(ハーフスクワット・ヒルレイズ)

ハーフスクワットは、膝がつま先よりも前に出ないように、膝が足の人差し指の方向に向くように注意して、お尻を後ろに引くように体を沈めます。


膝は90度くらいまで曲がればOK。 それ以上の屈曲は膝を痛める原因となりますので注意が必要です。


トレーニング中は息を止めないようにします。


1日の目安は深呼吸するペースで5〜6回繰り返して、1日3セット行います。


ヒルレイズは、いわゆる「かかとあげ運動」です。


1回10から20回を、1日3セット行います。ゆっくり上げ下げするのがポイントです。


転倒の危険性がある場合には、机や、壁に手をおいたり、後ろに椅子を置きます。


厳密には、ロコトレにはフロントランジ運動もありますが、高齢者にはやや過負荷であり、若年向けです。


ロコトレ全体として、転倒発生予防効果が言われています。

引用
石橋英明:ロコモ介入が転倒予防につながるか.日骨粗 鬆症会誌 5(Suppl 1):189, 2019
他にも、片脚立位時間の延長・Functional reach testの延長など機能面での改善効果が言われていますが、 提唱されたばかりで、エビデンスとしては、まだ訴追する必要がありそうです。






まとめ

高齢者の場合、

  • 運動療法による効果を疑心される
  • 運動療法は効果が出るまで時間がかかる
  • 受け身の治療を望む人に継続さえることの手間
などから、敬遠されがちな運動療法ですが、ある程度話をするときに根拠があればこちらからも説明しやすいというメリットがありますので、是非役立てていきたいものです。







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