骨折治療では、骨にインプラントを密着させると血流が悪くなり、骨癒合に不利であることが知られています。
一方で、プレートも進化しており、骨への接地面がベタ付けにならないようにややスペースを空けている構造になっているものがほとんどです。
また、関節近傍へ使用するもでは特にanatomicalな、つまり解剖学的に正常の骨の形状に合ったプレートが開発されています。
これらをふまえると、実は一昔前に流行った、”プレートを骨によせる手技”というのは、現代において全く使わない手技ではないということが言えます。
その理由は、
- 関節近傍では、プレートが浮いていると軟部と干渉しやすい
- インプラントの形状を利用して整復することがある
- プレートとスクリューがContactする部位への負荷を減らせる可能性
インプラントを利用して整復する手技としては、橈骨遠位端骨折でのcondylar stabilizing法が有名です。
先に遠位骨片とプレートを固定し、近位骨片をコンベンショナルスクリューで寄せることでtiltを整復する手技です。
他にも、上腕骨近位部骨折で利用したいと、その範囲は多岐に渡ります。
インプラントを利用して整復する手技のピットホール
インプラントを利用するとはいえ、ある程度形を整復して仮固定する必要はあります。
これをせずに全くバラバラの状態から固定していくのは、骨折観血的整復術ではなく、観血的インプラント挿入術と揶揄されます。
また、先ほどのべた、橈骨遠位端骨折のcondylar stabilize法では、コンベンショナルスクリューでプレートを骨に寄せる前に、一度徒手的にプレートを近位骨片に寄せてみて、イメージをみて整復位を確認する方が無難です。
プレートにコンベンショナルスクリューをいれて、プレートを骨に寄せる時のピットホール
2点あります。
一つは、整復位を壊さないように細心の注意を払うことです。
コンベンショナルスクリューで寄せることで骨がよってきてしまうと整復位が乱れる可能性がありますので、仮固定をしっかり行い、整復位が崩れていないことを確認しながら寄せる必要があります。
二つ目は、プレートが寄っていく軸と90度の方向に偏らせないことです。
コンベンショナルスクリューの向きが、寄っていく骨に対してすこしでも左右に振れて斜めにはいっていると、その方向にプレートが引き寄ってしまい骨軸とプレートの軸がずれることがあります。
これを防ぐためには、先にプレートをよせていく骨に、キルシュナー固定をして、よって行った時に左右にぶれないようにしておくことが重要です。
まとめ
実はあまり手術ネタが少ないことに気がつきましたので、急遽記事を作りました。
意外と手技署などには書かれていないピットホールですので参考になれば幸いです。
コメントをどうぞ