医師であれば、「長期成績」と「短期成績」というワードは聞いたことがあるかもしれません。
整形外科の分野でも、術後成績を考慮したりするときにこのワードはしょっちゅう出てきます。
近年、平均寿命が延びていることもあり、論文をよんでいますと、以前よりも長期の定義がさらに長期になり、中期の定義が従来の長期くらいの印象を受けることもあります。
短期成績のみで、ものをいうことのリスク
整形外科分野も、トライアンドエラーのような歴史的側面があります。
もちろん、エラーも結果論であり、理論上は良いとされていたこと、短期成績は良好であったことから多くの患者さんにその治療が行われて、結果的に長期で比較的多い患者さんが再手術を余儀なくされた治療も存在します。
例えば、人工股関節セメントステムの表面加工がラフ加工のもの。
アメリカでは、一時多く行われていましたが、現在では長期成績が出ないことがわかり、ほとんど行われなくなっています。
理論上は、ステムが沈下しないように、表面加工をスムースからラフにしてその固定性を向上させるというものでしたが、結果としてはセメント骨境界でのルースニングによる沈下を引き起こし、長期成績が奮いませんでした。
しかし、当時はみなが正しい理論と考えていたはずですし、短期成績も比較的良好であったために、歩いって期間患者さんに行われた手術とも考えられます。
他にも、人工膝関節の膝蓋骨インプラントのメタル化や、人工股関節の摺動面のメタル化も、様々な合併症が出現し、現在では行われなくなっています。
投資も短期成績で見るべきではない
私は、よく医学と投資に共通点があるという話をします。
投資も短期成績のみを誇示して、セミナー参加や本の購入を促す広告が非常に多く存在します。
人は、とにかく素早くお金持ちになりたい!と考えるため、知識がないとこの手の商法に引っかかります。
特に、時代背景やデータの一部を切り取って話をしているものなどには注意が必要で、医学でいう「バイアス」が強くかかっている可能性があります。
短期投資は繰り返しても、成功する確率が極めて低いことは過去のデータからもわかっており、たとえ一度掘り当てても、その後続く可能性は極めて低いと考えられます。
大事な資産をしっかり増やすためにも、投機的な投資ではなく、長期で見た投資を考えるべきだと考えます。
まとめ
医師の優位性は、
比較的大きな金額の継続投資も可能であること・景気に左右されにくく安定した収入が見込めることです。
この2点をとっても、調整局面でもとにかくコツコツ一定額を投資し続ける強みがあると思います。
短期的な投資を行い、カモにされることがないように気をつけましょう。
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