私は、外傷と関節をメインにしている整形外科医であるため、OPLLについて学ぶ機会は少ない方がと思います。
それでも日常診療をやる上で最低限知っておかないといけない部分については知識をアップデートしていくようにしています。
その理由は、
- 働くスタイルが変わった時に対応するため
- 専門外といって、整形外科疾患がわからないようなダサい医師にならないため
の2点です。
その上で、自分の専門としていない運動器疾患については、
- 自然経過
- 初診時の対応
- 紹介のタイミング・手術適応
くらいは押さえておく必要があると考えています。
今回は日本整形外科学会誌からの出展です。
引用文献
日本整形外科学会雑誌2019年93巻9号
その理由については、以前お話しした通りです。 医療知識のアップデート方法
OPLLの自然経過
OPLLを考える上で、脊髄症の発症は欠かせません。
- 骨化が厚い
- 可動性がいい
この2点が脊髄症に進行しやすいポイントのようです。
後でも述べますが、OPLLの方は頚椎の可動性によって、骨化が進行するようです。
ほかにも高感度CRPが評価に使えるようですが、実臨床からはまだ遠い印象です。
OPLLの手術治療のタイミング
脊髄症が出始めている人に手術加療を考慮することは異論はあまりないと思います。
しかし、OPLLの方は、稀に外傷を景気に脊髄損傷を起こし、そこで初めて診断されるケースも存在する、無症候性の症例が存在します。
そこで、偶発的に見つかった場合には、予防的な手術治療をどうするかという点が問題になります。
骨化占拠率が60%を超える症例では脊髄症の発症率が高いことから、手術加療を考慮されてもいいというのが今回の学びでした。
OPLLの手術方法
手術方法には、アプローチの方法として前と後ろに分類されます。
前方が後方よりも、重症例に対応可能なイメージを持ってもらえばいいと思います。
前方を選択する条件
- 骨化占拠率が50%を超える
- 頚椎側面アライメントが後弯である
骨化占拠率が50%を超える場合には、OPLLに対する椎弓形成術単独(後方)では成績が叙情に低下することがわかっています。先ほどもお伝えしたように可動性が残ることが問題のようで、その代案として後方からの除圧固定術があります。
後方から固定することで、可動性がなくなる分、椎弓形成術(後方)単独よりも術後骨化進行が生じにくくなります。
しかし、後方からの固定の場合アライメント不良な状態で固定されるリスクや頚胸椎移行部で前だおれするリスクもあり、前方法の方が局所と長期成績のみを考えると良さそうです。しかし、前方はその侵襲の大きさから比較的若年の重篤な依存症なしの場合に選択されます。
さらに、K-lineを用いた手術選択もあります。
K-line
単純X線側面像において、C2とC7高位の脊柱管中央を結んだ線を骨化後縁が超えるか否かで判断されるもの
超えない場合、K-line+とされ、椎弓形成術。超える場合、Kline-として、比較的若年の重篤な依存症なしでは、前方除圧固定を、高齢者・重篤依存症あり・C2の骨化巣が大きい場合には後方除圧固定術を選択します。
まとめ
自分の専門外(果たして、整形外科医である以上、これを専門外と言っていいのかにも疑問が残りますが)であってもある一定のレベルでの診療は必要であるため、これからもアップデート作業は行なっていく予定です。
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