深部静脈血栓症って、整形外科手術後におおいって言われてるのに、検査から治療からほとんど任せっきりになりますよね。。
脳筋、他科にお願いすること多め説
専門は、専門に(キリっ!!
参考文献
関節外科Vol40. 2021 10月 165−173
超音波による深部静脈血栓症・下肢静脈瘤の標準的評価法(案)
超音波による深部静脈血栓症・下肢静脈瘤の標準的評価法(案)
まずは深部静脈血栓症のお勉強
遠位型DVTと近位型DVTがあることはご存知でしょうか?
遠位型は膝よりも下、近位型は膝よりも上っていう簡単な分類ですが、ここに一つ大きな意味合いがあります。
- 遠位型DVTが進展して近位型DVTになる
- ひらめ筋静脈内血栓(遠位型DVTのひとつ)では2割程度
- 遠位型DVTのみである場合、それ自体が遊離しても大きくないため溶解もしくは器質化するので致死的PTEになるとは考えにくい*1
*1あくまで、「考えにくい」です
つまり、遠位型DVTはあっても近位型に発展しなければ問題になることは少ないよってことです
技術的に慣れが必要な下肢の静脈エコーをなるべく簡単にするために重要なんです。
そもそもDVTって、どう検査していく?
下肢の静脈で血栓の有無を評価する方法には、直接法と関節法があります。
直接法は、診断に結びつけることが可能な検査方法であり、内容は2種類あります。
- 静脈内血栓エコー
- 静脈非圧縮性
下肢静脈エコーで技術的に問題になりやすいのは、「体位をとりにくい人から、いかに静脈を描出し血管内の血栓を描出できるか?」だと思います。
この点において、下肢全体の静脈内を観察し血栓をエコーで直接観察する方法(静脈内血栓エコー)は特異度は非常に良いと思いますが、技術的な差が生じやすいとも言えます。
静脈非圧縮性は、血管内の血栓の有無がエコーの方向などの問題により直接描出することがむずかしくても、評価が可能であるため、静脈内の血栓を直接観察する方法よりは、勘弁です。ですが、こちらも、下肢全体の静脈が追えることが前提となります。
下肢全体の静脈は、走行も複雑ですし、整形外科の周術期には体位をとることができず、描出困難という点もあります
整形外科医ができそうなこと
そこでお勧め出来そうなのが、2point CUS法(CUS :compression ultrasound)です。
CUS法とは、先ほど説明した直接法の静脈非圧縮性の有無を調べる方法です。(もちろん、静脈が完全に潰れなければ血栓ありという判断になります)
2pointは鼠径部の総大腿静脈と膝窩静脈の2箇所です。
鼠径部の総大腿静脈と、膝窩部のふくらはぎ深部静脈への分岐部までの膝窩静脈をチェック。
検査自体位は仰臥位で鼠径部に総大腿静脈を、股関節開排位で膝窩静脈をチェックします。
膝窩静脈は2つあることがあり両方チェックが必要です。
この方法は、もともと救急外来で迅速・簡便にチェックするために作成されたものですが、これを用いて、煩雑だが、制度の高い方法と遜色ないレベルまで昇華できないかと考えられたのが、血中Dダイマー値と組み合わせる方法です。
元論文によると、
2point 法
- 2point法による超音波検査が正常な症例には、Dダイマー検査を実施
- Dダイマー異常のある場合は、1週間後に再度2point法による超音波検査実施
- Dダイマー異常がない場合には、そのまま追加検査なし、抗凝固療法なし
Whole leg 法
- Whole-Leg法の結果が正常であった患者には,さらなる検査を行わない
- Whole-Leg法の結果が正常であった患者には,抗凝固療法もしない
上記に対して、3ヶ月のフォローアップで、症候性VTEの発症の発生率を評価。
*Whole-Leg検査法の詳細、症候性VTE発生のend point判定については原文を参考ください。
参考文献
JAMA 2008 ;:300:1653-1659. Enrico Bernardi , et al
結果としては「2point法もwholeleg法もDVTの管理において同等」というものでした
つまり、簡便な2point超音波検査+Dダイマーを組み合わせた管理と、煩雑だけど、やる人がやると正確性の高いなWhole-Legエコーは同等であるってことだな。
なら、Whole-Leg描出による、超音波検査に自信がない整形外科医は2point超音波検査+Dダイマーによる管理を選択するといいかもしれんな。
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