お仕事整形外科医です。
椎体の圧迫骨折は整形外科医なら、見ない日・聞かない日はないんじゃないかと思うくらいの頻度です。
入院・外来治療のいずれも選択されることがありますが、その基準は施設によってもことなり、非常に曖昧です。
もちろん、その地域や病院の特性もあっての判断になりますので、すべてが医学的に考慮されるべきではないことも事実ですが、したっぱの頃はとくに、入院にするかどうかを、医学的な側面から説得力をもたせないと、不安になります。
今回は、重症度についてお話しすることで、すこしでも医学的に入院が必要か?の判断基準の手助けになればと思います。
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痛みだけだと、上司に入院の理由を伝えるときに説得力にかけるんだよな。
状態から、入院の理由を伝えられた方がいいですよね
この記事のまとめ
- 椎体圧潰予測因子
- 骨癒合不全・技関節の予測因子
- ベッド状安静は必要?
参考文献
日本整形外科学会雑誌 2020 94巻 10号など
椎体圧潰予測因子
椎体の圧潰が高度になると、転位した骨片が脊柱管を圧迫ししびれや痛みの原因、場合によっては脊髄損傷を引き起こすこともあります。
そのため、どのようなタイプの骨折が圧潰進行を来しやすいかは知っておく必要があります。
- 椎体内クレフト(CTにて)
- T1強調像で全体型low
- T2強調像で低信号広範囲型
賢い先生方なら、お分かりかと思いますが、上記のようにCTもMRIも撮影しないと圧潰進行の予測ができないとなると、緊急で受診された場合に同日にどちらも検査できる施設には限りがあるのではないか?とおもいます。
もちろん、MRIかCTのいずれかを検査し、当てはまれば・・、という考えからもあるかもしれませんが。。
骨癒合不全・偽関節の予測因子
骨癒合が遅れると、疼痛が遷延することが予想されます。
その予測因子は、
- 椎体後壁損傷(後壁不整像、MRI矢状断)
- T2強調像の低信号広範囲型(骨折椎体の低信号面積が50%以上
このように、やはりMRIはマストになるようですので、施設によっては重症度判定も受診当日にできない場合が出てしまうのではないかと思われます。
また、予後不良因子に対しての対処として、本文中では、
予後不良が予測される症例に対しては、漫然と一般的保存治療を行うだけではなく、安静強化と強固な外固定、骨形成促進役の投与、椎体形成術など、より強力と思われる治療介入を検討する
とされてはいるものの、具体的な引用文献や根拠に乏しく、今後の課題と読み取ることができました。
その他にも・・・。
上記以外にもいくつか、面白い記述がありました。
Lunt M et al. Bone 2003;33:505〜13
新規椎体骨折のリスクは既存椎体骨折の骨折の数と共に増加し、一個の既存椎体骨折がある場合の新規椎体骨折の相対リスクは3.2倍であるが、2個の既存椎体骨折があれば、その相対リスクは9.8倍に増加し、3個以上の既存椎体骨折の場合、相対リスクは23.9倍になる
Delmas PD et al. Bone 2003;33:522-32
既存椎体骨折の重症度も新規椎体骨折の発生に影響する
既存椎体骨折の圧潰の程度が強ければ強いほど新規の椎体骨折は発生しやすい
さらに、ベッド上安静については、
362例の椎体骨折患者に対して入院治療、装具治療、薬物治療などの治療成績への影響を多変量解析により解析するも、いずれの治療も6ヶ月での痛みやADLなどの最終的な治療結果に影響しなかった
さらに、ベッド上安静については、
362例の椎体骨折患者に対して入院治療、装具治療、薬物治療などの治療成績への影響を多変量解析により解析するも、いずれの治療も6ヶ月での痛みやADLなどの最終的な治療結果に影響しなかった
千葉一裕ら 日本整形外科学会雑誌2011;85:934-41
受傷初期に3週間のベッド状安静をしても椎体圧潰や癒合不全を予防できなかった
また、外固定方法について、初期ギプスによる固定でも椎体変形の進行を予防できなかったが、より強固な固定の方が市販の半硬性装具よりも椎体楔状化を防ぐ可能性が示唆された。ただし、既成の体幹装具を用いた群との有意差はなかった
など、否定的なものが多く、本文中では行っても2週までではないか?とされてました。
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