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【メモ】大腿骨転子部骨折で、ロングか遠位2本打ちを選択する骨折型



お仕事整形外科医です。


大腿骨転子部骨折は10年以上前は、インプラントに依存した研究が多かったように思います

ラグスクリューの挿入位置が、sliding量や術後の状態に影響を大きく及ぼしているような論文が散見されました。

しかし、ここ数年は整復位がスライディング量やカットアウトレートに大きく影響を及ぼしている論調がみられ、個人的には「整形外科医の腕の見せ所」としての面白さは大きくなったと思っています。

参考
小野玄太郎ら:骨折第42 巻.No.4.2020.1237-
寺田忠司:整・災外2016;59:1603‒

インプラントに任せっきりの理論展開よりも面白いよな

でも、ちょっと前は本当にインプラントの話ばっかりだったんですよ・・・。

まとめ
  • 後方骨折合併例は、subtype Aはマスト
  • その上で、sagittal swing motionをインプラントで止めに行く
  • 私見としてはコンプレッションの役割も・・・?





後方骨片のある転子部骨折はなぜ不安定?

後方骨片を伴うような粉砕例の大腿骨転子部骨折は、比較的よく遭遇します。

以前もお話ししましたが、単純レントゲンのみでは、バナナ骨片の把握が難しく、術前のCT検査はマストです。

【再確認】大腿骨転子部骨折の術前にCTを撮影すべきか reverse typeや転子下骨折でもそうですが、骨折部からラグスクリューが挿入された場合にはインプラントによる安定性は得られにくいと考えられます。

そもそも、大腿骨転子部骨折のインプラントによる安定性の獲得は、

  • ラグスクリューの先端
  • ラグスクリュー刺入部
  • ネイル刺入部
  • 遠位横止め
で得られていると考えられます。

骨折型によって、ラグスクリュー刺入部や、ネイル刺入部に固定性を求められない場合には、整復位による因子がより大きくなってくるように感じます。

そこでsubype分類が重要になってきます。

後方骨片がある骨折型が、不安定なわけ

整復の方法については、以前こちらの記事でお話ししました。

【メモ】大腿骨転子部骨折での整復困難症例のパターン 今回は、この整復位を保持する方法についてです。

転子部骨折へのラグスクリュー固定は、スライディングを適度に許容して骨片間に圧着をかけることで骨癒合を促します。

少し話がそれますが、若い先生の中には、スライディングをさせないためには、セットスクリューを緩めなければいいのではないか?と質問してくる方がおられます。

高齢者の骨は、インプラントにしっかり負ける弱さであるため、もしセトスクリューを緩めなかった場合、ラグスクリューの位置はそのままに、骨頭がお辞儀してきて、カットアウトに至ります。

だから、ある程度骨折部の動きを許容し、スライディングさせて応力分散をしているわけです。

しかし、骨折部の動きを許容することは、程度が過度になると不安定性となります。

とりわけ、先ほどお話ししたような後方骨片を伴う症例では、ネイルの刺入部、ラグスクリューの刺入部による安定性に期待が低いため、不安定性が強くなり、過度のスライディングにつながり得ます。

その一つとして、sagittal swing motionが注目されているわけです。

sagittal swing motionは、ネイルがAP方向に遠位横止めスクリューを中心として骨内でswingする不安定性の一つです。

とりわけ、後方骨片を伴う症例では、ネイルの刺入部、ラグスクリューの刺入部による安定が期待できないため、みられやすいとも言われており、術中にsubtype Aだった整復位がNやPになる原因とも言われています。

不安定型において、整復位を保持するには?

個人的には、後方骨片を伴うような不安定性のつよい症例の整復位保持には、ロングネイルの使用か、遠位横止め2本うちのどちらかを選択しています。

sagittal swing motionを防ぐ目的なのですが、この2つを比較したものは知らないので、いずれかを選択しています。

先生によっては遠位の2本うちが骨幹部の最狭部付近になることを嫌がられる方もおられ、その場合にはロングネイルにしてinfra isthmusを超えた、遠位部で2本うちになるような固定を目指したらいいと思います。

また、これも完全に私見ですが、適度な術中コンプレッションも、術後に意図しない整復位破綻を伴うスライディングを防ぐためには「あり」なのではないかと思っています。





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