【ものの見方】医師からみた、必要な民間任意保険とFIREムーブメントへの危惧



お仕事整形外科医です。


先日、固定費の削減について、家計への効果が絶大であることを書きました。


固定費を下げることのインパクトの大きさ
固定費削減において、「民間の任意保険の見直し」は、多くの人にとって必要なプロセスです。


最近は、「公的医療保険が恵まれているので、民間任意保険は不要!」という、意見も多くみられ、「保険解約ビジネス」という言葉も耳にします。


そもそも保険は、誰かが病気や怪我で、家族の収入がなくなると、その周囲の人たちにまで不幸の連鎖が生じるという、”不幸の連鎖”を断ち切るためのものです。

船乗りの事故に対するものが発祥であると、どこかでみたような気もします。。。


資産形成とはまったく別物、資産形成のためではないということは念頭に置いておく必要があります。

確かに、日本の国民皆保険制度は非常に恵まれています。

しかし、医師という視点から病気をみると、「これはあっても良いんじゃない?」と感じる民間保険も存在します。


資産形成クラスターの中には保険なんてほとんどいらないっていう極論者もおられますが、目的を見失わなければ必要なものは彼らがいうよりも、もっとある気がします。

住居についても同様です。

資産形成クラスターの中には、賃貸vs持ち家という意見対立構造が根強くあります。

その議論の中で、賃貸派の不安点として、「高齢になると賃貸させてくれるところが減るから、物件を買おうか?どうしようか?」という意見を目にします。

しかし、その不安はそもそも動ける高齢者であることが前提です。

動けない場合には住まいは人に助けてもらいながらの形になりますし、改築も必要になります。

そうすると自ずと通常の賃貸物件では不可能です。

今回のお話は、資産形成クラスターが思っているほど、高齢になったときにお金がかからないわけではないという内容です。

医師は国民皆保険制度の「良さ」と、その逆の「穴」についてよく知っています
逆に、頻度の低い病気を診る(見る)ことがあるから、医師の意見にはバイアスがかかっている可能性もあるけどな・・・。

また、医療保険と介護保険の違いについて、知らない資産形成クラスターがお話ししている内容にはおかしな部分がありますのでそこは注意が必要です。


この記事の内容まとめ
  1. 保険外診療に対する保証はあってもいいかもしれない
  2. 意外と個室代がかかることもあるよ
  3. 収入保証はあっても良いかもしれない
  4. 介護保険料・医療面でかかる費用、将来の変動にも考察が必要
  5. でも、最後は自分の責任で選ぶ





最近の医療の傾向と、「あってもいいかも?」任意保険の種類

近年の医療の傾向としては、

  • 入院期間短縮
  • 外来治療の高額化
  • 外来治療の幅は広がったが、働き方がそれについてきていない印象も・・
  • 差額ベッド代などは全額自己負担(どうしも必要な場合も)
  • 保険適応前の先進医療の選択肢が増えた?
を感じます。

まあ、近年といってもちょっと前からの話ですが。。


入院期間の短縮は、最近ではずいぶん患者さんの受け入れも良くなり、むしろ早く帰りたい人が増えたようにも感じます。


以前であれば、酷いものだと「7日以上の入院からしか保険料を支払わない」という民間任意保険もあったようですが、最近は時代の流れに合わせて対応してきているものが多く感じます。

注意
時代の変化に合わせて保険は見直しは、常に必要ということです。

確かに、国民皆保険制度・高額療養費制度の恩恵があり、入院外来問わず、ある一定以上の医療費については免除されます。


なので、入院期間が短縮しようが、外来治療が高額化しようが、その点は保険は不要という人たちの意見はうなづけます。


しかし、注意が必要なので、高額療養費制度や負担割合に応じた窓口負担になるのは、医療保険制度内でのサービスに限るという点です。


医者をやっていると、医療保険制度サービス外でいくつか目立つものがあります。

  • 差額ベッド代
  • 先進医療で、保険収載前の医療行為

差額ベッド代は、整形外科医をやっていると、とくに目立ちます。


「自分が希望しなきゃいんでしょ?」という方もおられると思いますが、緊急で入院が必要になった場合や治療内容によっては、病院側から個室を指示されることがあります。


細かいことをいうと、「病院の都合であった場合には支払いの義務はない」と主張される方もおられます。


法律上は「真」かもしれませんが、病院側もベッドコントロールがありますし、民間であれば経営もありますので、あまりに頑なな「No」が最適な医療提供を妨げる可能性もあるような意見も散見されています。(医療行為はお互いの信頼関係がベースです)


さらに、患者さんの病状によっては、患者さんのために個室管理の方が適している場合もあります。


また、集団部屋は一般の方が想像できないような部屋も存在します。(夜間不穏部屋、昼夜逆転部屋、なかなかの匂い部屋)

集団生活、さらには病院である以上、その辺は許容できるかどうかも、個室を希望するかどうかの分かれ目になってきますね・・・ホテルじゃないので。


先進医療については、保険収載前医療が存在します。

*まれに、「先進医療」と銘打つもののなかに、トンデモ医療(多くの医師からは、到底受け入れてもらえない・推奨されないような治療)が隠れていることがありますので、注意が必要です。保険によっては、治療する病院を限定することで、それらを除外するようにしているものもあるようです。

「先進医療が必ずしもいい医療なのか?」「その医療がその時点で本当に有効かどうか?」の議論は当然あると思いますが、一旦は置いといて、病気のときにその選択肢を持てるかどうか?という部分が金銭面で違ってきます。

保険収載前だと、かなり高額な医療も含まれますので、「その点に対する備えをどう考えるか?」だと思います。


いずれにしても様々な疾患の頻度としては低いかもしれませんが、医師は診る(見る)頻度が、医療関係者以外の方とくらべると高い傾向にあるため「備え」を手厚くしたくなるという側面もあるような気もします。


なので、必ずしも医師が備えている部分が「正解」とも言い切れない部分があるかもしれません。

収入保証はあってもいいかも?

入院期間の短縮も手伝い、外来で治療可能な疾患や状況は増えてきているように感じます。

かつ、疾患を持ちながらも、社会にでて働くことを継続できる状況も増えているようにも感じます。


しかし、疾患や状況によってはフルタイムで勤務できない場合があったり、勤務先がどこまで対応できるか?というのも、それぞれ異なるのではないかと思います。


自営業・フリーランスの方は、とくに「傷病手当」がもらえませんので、働けない場合の収入保証は加入していてもいいかもしれません。


もし、収入保証型の保険に加入するなら

  • 支払い開始日と支払い期間
  • 支払い条件は?
  • 精神疾患には対応しているか?
は、確認するべきです。


支払い開始は、自営業・フリーランスの方は早いに越したことはありませんが、その分保険料が上がります。


また、支払い条件としての体の状況が肢体不自由などかなり高度障害な状況でないと支払われないものも存在します。


さらに、最も多い、「働けなくなる理由」に精神疾患が挙げられますが、実はそれを保証対象外としている保険は散見されます。


フルではなくても、部分的でも支払い対象になっているものを選択した方がいいと思います。

介護保険制度と医療保険制度の違い

医療保険精度は、その治療費の負担割合が、その個人の状況(年齢や収入)に応じて決まっています。

高額になれば高額療養費制度の対象になり、あとから大きなお金が戻ってくるという非常に恵まれた制度です。

一方、介護保険は医療保険とまったく異なります。

介護保険は、介護度によって、月に利用できる介護保険料の枠(金額)が決まっています。

それ以上になると10割負担です。

そうです、全額自費。

介護保険でまかわれる範囲は、生活面に直結する部分が大きいのですが、高齢になると普段の生活が健康に直結する部分が大きくなります。

つまり、介護保険で行われる内容によって、病気を防ぐことができたり、改善したりすることができるということです。

しかし、金額の枠が決まっているため、枠内でおさめようとすると、どうしても理想のリハビリなどができないという状況になることが多々あります。

つまり、ある程度、「健康でいるためにも金がものをいう世界」というわけです。

確かに、病気になったら医療保険が効いてきます。しかし、病気にならないように、また、病気からしっかり復帰するために、介護保険でまかわれる内容は非常に重要です。

医療と介護の保険を同率に見ている人たちは、大きな間違いですのでこの辺は理解が必要だと思います。

FIREムーブメントについて、医療・介護の側面から

FIREを考えるうえで、将来どの程度のお金がかかるかを考えることは不可欠です。


医療・介護の側面から考えますと、早期リタイヤするかたのなかには、やや甘く考えている方もおられるように思います。


医療費も介護費も、保険料含めて厳し目に見積もった方がいいように感じます。


超高齢社会・医療費の高騰など要員は様々あるようですが、保険料は上がり続けているにもかかわらず、保険協会の財政は緊迫しているようです。


また、介護保険は医療保険とことなります。


状態に応じて、月学の保険対象となる上限金額が決まっています。


しかし、現場にいると、本当に最適な介護を受けるには介護保険の枠内では足りないという事案が散見されます。


介護も健康面に大きく寄与しますので、お金のあるなしがその人の今後を左右しているようにも感じる場面もあります。


もちろん将来のことはわかりませんし、不確実性の塊です。


しかし、少しでもその点を含めて、FIREに必要な準備をしてもいいのではないか?とも感じます。

まとめ

私は保険屋とは何の忖度もありません

民間の任意保険については、大きな固定費であり、家計には重大な選択です。

何かあったときの備えであることは間違い無いので、加入するかどうかは完全に本人の責任だと思います。


昨今は、「任意保険が悪」のような論調をされる方もおられますが、みんなが同じ方向を向いているときの方がむしろ慎重でああるべきです。


他人の人生と自分の人生は違いますので、自分の想いや思想にあった選択をしたほうが賢明であると思います。




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