何を信じるかは、「あなた次第」な医療の実情

最近の外来では、病院を薬屋さんのように利用する患者さんがおられる一方で、様々な情報に流される人たちにも遭遇します。どんな健康食品にも、最後には医師に相談しましょう!のように記載されており、メーカーから大して情報提供もされていなかれば、メーカー名すら知らないものの責任まで取らせようとするものが多すぎます。

健康食品に月7万円

高齢者は、時間はありますが、お金はもっとあるというのを、本で読んだことがあります。さらに、90歳のおばあちゃんに、お金を何に使うか聞いたところ、「老後のために蓄えておく」という冗談みたいな話があるくらい。

確かにいつまでお金が必要な状況になるのかは、誰にもわからないためいつまでたってもお金が必要というのは事実です。

しかし、そのお金を大した根拠もなく毟り取ろうとする輩が大勢います。

長く使えば(飲めば)きき始めますからと、ATM状態にされているに人が非常に多いです。

日本では、高度な医療が保険診療の中で安価で受けられます。そこには多くの知が結集されているにも関わらず、健康食品に走ってしまう原因はなんでしょうか?

なぜ、高齢者は突然かかってきた電話セールスを信用して、医者の処方は拒絶するのでしょうか?

医師と患者の信頼関係の崩壊

医師と患者の信頼関係は、患者の服薬・治療コンプライアンスに影響を及ぼすという研究結果があります。これをそのまま解釈すると、患者さんが医師の治療を拒否し(受診しなくなり)、健康食品に走る行為は「患者の勝手な行動」による結果のみではない可能性が浮上します。

そこには、医師の信頼関係構築の失敗が見え隠れする可能性が考えられ、それは医師の敗北を意味します。

つまり、多くの犠牲や損失を生みながら構築された、知の結晶である医療が、末端の医師が踏ん反り返っているという理由だけで敗北したとも言えます。

まとめ

このように、エビデンスや研究は、ときに医師の行動を否定するような結果を生みます。

目の前の患者さんの行動を、患者さんのせいにするのは簡単ですが、そこに自分の責任が本当になかったのかを見つめ直すことも重要です。

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