お仕事整形外科医です。
整形外科医は運動器のプロフェッショナルである必要がありますが、これまでいくつかの問題点を指摘されている部分があります。
これは、自分への自戒も含めてです。
回旋アライメント評価がすくなかった
骨を見る検査といえば「レントゲン」と言う時代がかなり前から続いています。
レントゲンは、正面、側面、両斜位を含めてある程度立体的に評価が可能です。また、長尺で撮影したり、いわゆるスロット撮影すれば、冠状断・矢状断についてもアライメント評価をすることが可能です。
しかし、水平断のCTをもちいた回旋アライメント評価はCT検査が一般的となった後から生まれてきたたため、他の2つのアライメントの研究と比較してやや遅れをとっていると言えると思います。
もちろん、脊椎や骨盤などの矢状面アライメントのお話もいまだに盛り上がっていますが、回旋アライメントについては特にわかっていないことが多くあるように感じます。
動的に運動器を見る力が弱い
人間は、止まって生活しているのではなく動いて生活しています。
運動器の痛みは、多くは動いた時に増悪します。
この点を含めると、運動器疾患を見るときにはある意味で動的に検査・評価をするべきですが、レントゲンは静的な評価が得意です。
もちろん、ストレス撮影や前後屈撮影などを駆使してある程度動的なものを捉えることは可能ですが、エコーのように時間軸としてダイナミックに検査するのが得意というものではないと思います。
もう一点は、整形外科がレントゲンに頼りすぎる傾向もあるかと考えます。
身体診察や問診を重視すると、ある程度動的な評価もできますが、患部をきいてすぐレントゲン、それだけ見て体を触れずにすぐ評価というながれでは、動的な評価はほぼできません。
整形外科医は、問診・身体診察を含めて評価する必要があります。
また、エコーもダイナミックに捉えるには非常にいい検査です。
医師にしか認められていない、レントゲンを撮影し診断すると言う行為の専売特許に完全にもたれかかっていると、大きな落とし穴に出会いかねません。
手術治療が選考されやすい傾向
近年の、整形外科医系学会の発表・論文の多くが手術加療についてのものであり、保存治療やケアの部分がかなり希薄になっていることは以前から問題視されています。
手術適応の拡大は、実は社会的な背景(共働きの増加・核家族化・早期社会復帰希望の増加・訴訟の増加など)もあるのですが、保存治療もしっての手術加療であるという部分は大切にしないといけないのかもしれません。
まとめ
「整形外科いっても、レントゲンをとって、痛み止めと湿布ではい帰宅。でしょ?」と揶揄されることもありますが、実際にはそこには怖い病気がないかを除外診断しているという大切な役割をになっています。
しかし、医師という専売特許にあぐらをかき、検査や薬・手術に頼り切っていると、本質を見失う可能性もあると言うことは心に刻んでおいてもいいのかもしれません。
また、運動器を学問として取り扱う分野にはいくつかの学派があり、それぞれ意見主張が異なります。
異なる意見を、感情に任せてぶつけるのではなく、一つの考え方として捉え「学ぶべきところは学ぶ」という姿勢を持つことも大切です。
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