大腿骨頸部骨折は、骨接合と人工骨頭置換術がおもに行われる術式かと思います。(一部THAを推奨・行っている施設もありますが、、)
合併症として、骨頭壊死やLate Segmental Collapse(LSC)などがあり、骨接合と人工骨頭置換術との術式選択に大きな影響を与えるものです。
術前から、これらの合併症が生じうる可能性が高いと考えられる症例については、初回手術から人工骨頭置換術を選択した方が無難であることは、よく知られている通りです。
そもそも、大腿骨頸部骨折の分類でもっとも有名なGarden分類はレントゲン正面像をもとに4つに分類したものです。
その問題としてよく言われるのが、
- 分類できない骨折型もある
- 検者間での一致率が低い
- 正面像のみでの分類である
などが挙げられています。
今回、骨折治療学会雑誌で面白いものを見つけました。
- やっぱり、レントゲン正面像では限界がありそう。
- 整復したところで、LSCはどうか?
- 流行りのインプラントでどうか?
ご紹介する論文の、ここがおもしろい!
今回参照させていただいた投稿は、いくつか「いいね!」なところがありました。
① 術前の状態が2群間で揃っており、非転位型に限定している
正面像での分類としての非転位型に絞って検討しておられます。
当然この手の研究をする際には必須だと思うのですが、論文によってはよくよく読むと混ざっていることもあるので、抑えておきたいところです。
② 側面像を整復している
非転位型でもよく見られる、側面像の後捻を整復してから固定しておられます。
これも、揃ってないと途端に読む気が失せるのですが、整復したうえで、LSCが防げるか?という検討になっています。
③ インプラントが角度安定性・回旋安定性が期待できる
整復する施設では比較的、角度安定性のあるインプラントを使用することが多い印象ですが、後捻を整復すると頚部の後方にdefectができますので、これのサポートという意味でも、角度安定性・回旋安定性の高いインプラントで固定している方が、個人的にはベターだと思っています。
ここを合わせることで、術後に骨頭回旋、頚部短縮によってLCSを起こしたのでは?という懸念を払拭できます。
やっぱり後捻はいかん!
結論としては、側面像での後捻はやはり問題が大きいようです。本文中ではカットオフ値も示されていますで、是非参照にしてください!
感度特異度は、、そこそこいい!って感じでしょうか?
カットオフ値以上でも、LSC発生率は26%前後と、「このカットオフ値を上回っていたから、人工骨頭にしよう」ともならないくらいのものです。
まずは、自分の中でデータをもち、患者さんへの説明材料として用いるといったところでしょうか?
今後に期待
後ろ向き研究であったこと・・・。くらいでしょうか?
手術までの待機期間も揃ってますし、比較的早い。
経過観察期間の最短が12ヶ月とLSCを判断する時期としてはやや拙速な印象もありますが、全体として非常にいい論文だと思いました!
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