お仕事整形外科医です。
勤務医であれば、ほぼ毎日さわることになるカルテですが、紙カルテの頃と比べてその「視認性」「可読性」は雲泥の差があります。
いまだにたまのバイト先で紙カルテに遭遇しますが、正直前の医師が何を記載しているのかわからないことは多分にあります。
わかりやすいカルテを意識するために、大事なことを端的に表現しようとしているのですが、最近はこちらが意図していなくても、患者さんのカルテを蝕んでくる奴らがいくつか存在します。
- カルテを蝕む、2つのモンスター
- 無くなって欲しい、その2つ
なくなって欲しいカルテへの記載事項①
一つ目は、病院評価機構を乗り切るための文言です。
そもそも病院評価機構は、つぎのことを目的としています。
ホームページより
病院側のメリットとしては、評価機構に認定されたことを標簿できること、診療報酬的な優遇・施設基準の問題をクリアできるなどが挙げられます。
私も、これまで幾つかの病院を経験してきた中で評価年に該当し、経験したことがあります。
他の病院で行われた経験者の方のお話も含めると、みなさん口を揃えて、「無意味」と訴えられます。
- 評価者がくるときだけの一時しのぎ
- 終了したら元どおり
- そもそも評価自体が、病院業務の妨げ
など、酷評まみれです。
個人的には、誰かの目を閉鎖的な病院内に入れることは必要と思いますので、ある程度の効果は期待できるのでは?と、肯定的な意見も持っていますが、カルテへの記載については、否定的です。
そもそも、病院評価機構の監査を潜り抜けるための定型分を、患者さんのカルテに記載していくと、かなりのボリュームになることが間違いと思っています。
このため、本当に必要な部分のカルテ記載は相対的に極小になり、どこに重要な情報が書かれているのか?という視認性が異常に悪くなります。
電カルのメリットとも言えますが、定型文言は、ほぼコピペできますので、記載者の頭の中や行動変容に影響を及ぼすことはまずないと思われます。
そもそも、後関東の病院や中部地方の病院では、病院評価機構の認定を受けておきながら、その後、長年の不正が発覚するなど、見抜けていない感・評価できていない感が浮き彫りです。
患者さんが病院を選ぶ上での基準としての信用も、地に落ちているように感じます。
なくなって欲しいカルテへの記載事項②
2つめは、保険審査のためのカルテ文言です。
これは、本当に消失して欲しいものの一つです。
もちろん、先ほどの病院評価機構のところでもお話ししましたが、定型分で行動変容につながらないこと・カルテ視認性が悪くなることも問題ですが、それ以上に地域によって異なること、さらに病院によっても異なることは大問題だと思います。
これは、保険審査の問題でもありますが、評価者や評価される病院によって、その内容が異なるのは全国一律のルールとは言えません。
医師も保険審査で切られるかもしれないという思いから、勝手のわからない非常勤先では過小医療になる恐れがあります。
今まで、出会ってきた文言の代表としては、長期処方に対するコメントがあります。
これも電子カルテが普及していますのですべてテンプレコピペだけで、実際に医師の行動変容やアウトカムの変化につながっているとは考えられません。
まとめ
始めてしまうと、やめるときには2倍の労力が必要なものは山ほどあります。
特に、やること自体は悪くないこと、理想を言えばあればいいものについては、やめにくくなります。
ですが、この度のハンコ文化へのメス入れのように、少しずつ、いらないものを減らしていく努力も必要ではないかと思います。
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