【難】肩甲下筋腱断裂の診断

またまた、肩関節腱板疾患の診断についてです。

前回も肩関節のエコーについてお話ししたばかりですが、まだ舌も乾かぬうちに肩関節のお話です。

肩関節の専門じゃない整形外科医が話すことなので、専門の方にとっては退屈な内容かもしれません・・。
もはや、自分の勉強記事www

前回の記事です。
【目から鱗】肩のエコーはここまで来た。

この記事の参考文献
MB Orthop. 34(11) 45-51.2021



肩甲下筋腱断裂の診断

実際の臨床でも、「肩板断裂がない」の診断に、なかなか自信を持つことは難しいのですが特に「肩甲下筋腱(SSC)断裂がない」って言い切るのはは難しく感じます。

棘上筋(SSP)や棘下筋(ISP)はまだなんとなくMRIとエコーで判断しやすいのですが、、
SSCは単独断裂がごく一部(2〜5%)にあるから余計に難しいのです。

SSCの特徴から。

  • 上腕二頭筋長頭腱(LHB)を覆うように上腕骨に付着しており、LHBの安定性に寄与している
  • そのためSSCの断裂は小さくても、LHBの不安定生を生じ、肩関節前方部痛の原因となる
  • SSC断裂は、内旋筋力低下が生じるため、belly press testやlift off testが身体所見として挙げられる
  • しかし、上記の身体所見は感度は高いが特異度が低い
lift off testとか、可動域制限伴ってるとかなりの陽性になる人おおいよな・・


腱板断裂の診断に頻用されるMRIでも、20%以上のSSC断裂を術前に指摘するのに感度36%特異度100%とかなりpoorです。(参考文献Adams CR, et al: Arthroscopy 26 (11) 2010)

「MRIで断裂があれば、鏡視でも100%あるけど、MRIで断裂なさそうでも、切れてること結構あったよ」って感じですね。

そこで、エコー+間接所見が非常に有用になってきます。

エコー所見は?

エコーの所見としては直接所見よりも間接所見が有用です。

  • LHBの脱臼、欠損所見(SSCへの陥入や小結節の峰からの乗り越えを含む)
  • 小結節の骨不整
  • 結節間溝の滑膜炎の有無
  • SSCの菲薄化は左右で比較(これは直接所見)

注意すべきは、SSC断裂がある人の方がない人よりも、多くみられる所見も含まれていることから、もしかしたら逆にover indicationになる可能性もあります。

今後、この辺の詳細が明らかになってくるのかもしれません。

エコー手技について

  1. まずは、内外旋を調整して結節間溝をしっかりだす
  2. 小結節が三角形になる頭側にプローブをうつし(ここのSSC断裂が多い)、小結節にビームが直角になるようにする
  3. 肩関節外旋をしてSSCの長軸を観察する


といったところでしょうか?

参考文献では、MRI所見についても詳細に記載があり、さらにエコーやMRIの画像も添付されているため非常に有用です。ご一読をお勧めします!!


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