【目から鱗】肩のエコーはここまで来た。

肩関節の腱板評価にエコーが有用なことは知っていましたが、関節外科に組まれていた特集をみて衝撃でした。

参考文献
関節外科Vol40 10月増刊号 2021 p77-p86
内容は非常に充実しており、診断から治療に至るまで様々な手技が紹介されています。

ぜひ、一読されることをオススメします。
まじで、エキスパート



腱板損傷の診断について

腱板断裂のエコー所見は、

  • 腱の連続性消失
  • 表層陥凹(peribursal fatの陥凹)・平坦化
  • 内部低エコー・パターンの変化
  • 腱付着部の骨不整


などが挙げられることは比較的周知されています。

今回取り上げた論文でのこの点における個人的な初知見は2つ。

  • 肩甲下筋腱断裂は断裂の多い頭側の腱成分に注目する
  • 肩峰下滑液包に10〜15ml程度の局所麻酔と生理食塩水を満たして観察するとコントラストがついて小断裂の診断に有用
  • 上腕二頭筋長頭筋の腱鞘と肩甲上腕関節は連続しているため上腕二頭筋周囲に水腫があっても、一概に上腕二頭筋長頭腱炎と診断しない

というところでした。

もしかしたら肩関節の先生が聞くと笑われるような内容かもしれませんが、専門じゃないとこんなもんです・・。

棘上筋腱については前方のほうから断裂することが多く、前方を細かく観察するというのは、どっかで聞いたことがあったような気がするのですが、肩甲下筋腱については頭側というのは初耳でした。

短軸像で頭側におっていくと小結節が台形から三角になる部分があり、三角のところをよく観察するといいようです。

三角のところの方が切れやすそうなイメージもあるし覚えやすいですね
参考文献中では実際にエコー所見も載ってますので、ぜひ一読を!

次に、肩峰下滑液包への注射後の観察の件について。

peribursal fatの深層に針を進めて肩峰下滑液包内に注入しますが、その後腱板を観察すると、腱板内や腱板と骨の間に薬液が漏れ出てコントラストがつき診断がしやすいと言うものです。

こちらも、参考文献中では実際にエコー所見も載ってますので、ぜひ一読を!


最後に上腕二頭筋長頭腱について。

水腫があると、長頭腱炎って、短絡的に決めるのではなく、肩甲上腕関節からの関節液流入の可能性を考慮しなくてはいけません。

そのため、長頭腱炎とするには、長頭腱周囲のドプラによる観察が必須になります。

さらに、これを利用して、上腕肩甲関節内へ注射が確実に入ったかを注射後に長頭腱周囲の水腫を見ることでチェックするという方法も提案されていました。

原文中では肩峰下滑液包、肩甲上腕関節内への注射手技も詳細に記載されています。
さらに、肩甲上神経、腋下神経などへのhydroリリースの手技、それらを用いた投球肩への応用など実戦も踏まえて紹介されていますので、まじで一読の価値ありです!!



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