大腿骨転子部骨折は、もっとも遭遇頻度が高いと言っても過言ではないくらいですが、不安定型についてはその治療法にまだ検討の余地があります。
近年は術前CT分類や、術後の側面像での分類も進化し、どのような症例をより気をつけるべきか?がはっきりしてきています。
インプラントについてはここ10年ほど、それほど大きな変化はなく、第一選択はnailが多いのではないかと思います。(一部CHSタイプのサイドプレート月の方が有利という意見もあります)
個人的には、インプラントに依存するのではなく、整復によって術後の成績が変わってくるというほうがドキドキする(整形外科冥利に尽きる)のですが、今回はAnterior Support Screw(ASS)のお話です。
大腿骨の骨頭にむけてラグスクリュー以外に回旋予防に2本目のスクリューをnailを通して打つというのは、かなり前から言われていましたがASSはそれとはコンセプトが異なります。
ASSの意義
そもそも、ASSはラグスクリューと平行に挿入する2本うちnailのコンセプトとは異なります。
大腿骨転子部骨折の不安定型は後方皮質が粉砕している症例のことです。
近年、この様な症例で近位骨片の前方皮質が遠位骨片の前方皮質に噛まなかった時に過度のスライディングを起こして破綻すると考えられています。
不安定型の場合、大腿骨の近位前方皮質は、近位後方皮質よりも前方に出す必要があり(subtypeA)、術中に近位と遠位の前方皮質が合致している症例は、術後に近位前方皮質が、遠位前方皮質の後方に落ち込んで過度のスライディングの原因になることが言われています。
つまり、subtypeNはだめで、A一択ということです。
ですが、なかなかAまで戻すのが難しかったり、それを保持するのが難しかったりする症例があります。
その場合に、ASSを入れることで、意図しない転位を防ごうとするものです
参考文献から
参考文献では、術中にsubtypeAと判断されたものの中の大半で、術直後のCTにてsubtypeNになっているものが結構あることに、まず驚きました。
やはり術中評価には限界がある様です。
また、術後にsubtypeNからPに移行するの症例は、ASSなしがASSありに比べて有意に多いようで、ASSの効果が伺えます。
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