最近、民間保険の不要論が巷で人気です。
「民間保険に加入してるなんて情弱!!」
「ドブに捨ててるだけ!!」
「株式市場で運用した方がいいに決まってるwwww」
- 民間の保険が本当に不要な人とは?
- なぜ、民間の保険がいけないのか?
- 将来にわたって、今の状況はつづくのか?
民間の保険が不要な人
民間の保険は、「病気や怪我をしたら入院1日につき、〇万円支給!」など、自分の非常事態に備えるものです。
そもそも「保険」は、不幸の連鎖を止めるために作られたシステムであり、ある家庭の稼ぎ頭になにかあると、その家族、さらに、その家族の親族にまでその不幸の連鎖が波及することを防ぐものです。
逆に言えば、その人が例えば、独り身で、ローンがなく、不労所得・もしくは貯蓄が山のようにあるのであれば日本では保険はそれほど必要ないとも言えるかもしれません。
しかし、最近の保険解約論者には少々過熱感も感じざるをえず、そもそも貯蓄がすくなく、不労所得もない人たちに、保険をやめさせて不労所得を作るための種銭にさせるなど、ややリスクの高い方法を推奨しているものも散見されます。
日本の医療保険制度・傷害給付で十分?
たしかに、日本の国民皆保険制度は非常に優秀です。
支払いが3割負担だったり、高額になるとそれ以上の負担をおわせないようなシステムは素晴らしいです。
しかし、貯蓄もそれほどなく、月々の支払いががっちりあるような人の場合には、これだけの支払いでも詰みます。
これはたとえ医師であっても起こりうることであり、大学病院勤務でバイト先からの収入がほとんどの人が、月々定額支払いをバイト先の給与までがっちり利用しているとすると、たとえ、傷害給付金で給与の2/3をもらえたとしても、それは薄給の大学病院の2/3になりますから、当然不足していきます。
民間の医療保険に加入していないと、差額ベッド代も払えなくなる可能性もありますし、高額療養費制度を利用してもかなりの支払いが発生する可能性があります。
また、私のように整形外科医でもよく感じる部分ですが、国民皆保険制度には穴も多数存在します。
整形外科医で不動産投資家、ブロガーとしてもご活躍の先生も、保険外診療に対する支払いがある保険に加入しているなど、医療者の界隈では皆保険制度のカバーしきれない部分に対する保険も知られているところです。
さらに、突然の病気の場合には、個室管理を迫られる場合もあります。
以前、SNSで「病院の都合による個室管理は、その差額を拒否することができる」という、投稿がありましたが、病院も患者さんのために個室管理を勧めている場合があります。
おそらく、非医療者の方が考えているほど、病院の夜は静かではないですし、快適ではありません。
個室を勧めたのに拒否した人間が、集団部屋の環境を否定することはできませんから、しんどい体にさらに鞭打たれることになるのは目に見えています。
保険は保険。投資は投資。
民間保険のマズいところは、投資商品のような謳い方をして販売する人と、投資商品のように評価・購入する人がいることです。
保険はあくまで、保険であり、投資商品は投資商品ですので、そもそも比べること自体が間違っています。
そこを履き違えずに、必要十分を見つけ、定期的に見直すことができれば保険を必ずしも毛嫌いする必要はないと思います。
将来の変化をどう考えるか?
もう一点、このような議論になるときにいつも、「今の現状が将来にわたって永劫続くとは限らないことへのリスク」が語られないところに問題を感じます。
民間の保険は国民皆保険制度と異なり、加入時に健康状態の申告が必要になります。
将来自分が基礎疾患を抱えてから加入しようとすると、条件付きや加入できないといった状況になる可能性もあります。
つまり、民間の保険はいつでもやめれるけど、いつでも同じように入れるとは限りません。
将来の変化を含まずに、「今、あのインフルエンサーがこういったから!」と判断をするのは、保険においてはあまり適切ではないかもしれません。
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