お仕事整形外科医です。
医療記事として、新型コロナウイルス関連がならぶなか、三重大学の麻酔科の医療機器納入見返り問題が紛れ込んでいます。
医療機器納入に際して見返りをもらっていたことの賛否については、他の記事にお任せするとして、SNS上では、200万円の見返りが高いか?安いか?についての議論があります。
医療機器納入における見返りについて
今回のニュースの賛否はさておき、このような問題が表に出ると、同じように心を痛めている先生方もどこかにおられるかもしれません。
私は、白ですし、今は大学病院には勤務していませんし、単なる一勤務医で決算についてもなんの決定権もないペーペーですので、わかりませんが、もしかしたらこのようなケースは掘り出すとポコポコ出てくるのかもしれません。
お薬屋さんとの関係を考えても、医療業界はこの10年で大きく変容してきました。
新しい常識に対応できずにいると、痛い目にある時代になっています。
200万円は高いか?安いか?
この疑問は、もちろん個々人の経済感覚があると思いますが、医師の年収から考えるとそれほど大きな額でないように感じます。
そのせいで、これまで気付き上げてきたものが壊れるくらいなら(壊れることが確定しているなら)、200万円では全く足りません。
しかし、今回はとくに大学病院というところに問題の根底があるのかもしれません。
大学病院は、教授など名誉職になっても、その年収はたかが知れています。下手すると、医師3年目のきらきら美容外科クリニック院長の方が年収がいいなど、昨今は「名誉以外にはなにも得られないんじゃないか説」が出てくるほどの不人気ぶりです。
大学病院は構造上、医師の基本給は地方の中小企業サラリーマンと変わらないくらいにしかもらえません。
ほとんどの稼ぎは、時間外労働と外勤バイトによるものです。
つまり、「大学病院でいくら責任をもって働いても、お金としてのみ返えりは期待できない」ことを意味します。実際に私が大学病院にいたころも、無責任に院外でバイトしまくって、院内は他の先生に業務を押し付けている先生の方が年収がいいという惨状でした。
このような体質だと、教授になってバイトに行きまくることもできず(病院によっては教授の過度のバイトを禁止しているところもあります)、むしろ給料下がるやん!って考えてしまう場面もでてくるのです。
そこで、教授など名誉職の先生の中には、様々な方法でインカムを得ようとする人たちが出てくるのではないか?と思います。
つまり、責任と名誉にみあった年収が大学のみで完結していればこのような問題は生じにくいのかも知れません。
もちろん、問題の根本はこれだけではないと思いますが、これを無視することもできないと思います。
医師の仕事とお金の非相関
医師の仕事は、その責任や業務量と給料が全く相関しません。
金が欲しいなら皆がやりたがらない仕事をやるなんて当たり前だろう。高い参入障壁の向こう側で誰もが毛嫌いする仕事なんて金を稼ぐには最高。参入障壁がないところで皆がやりたがる仕事なんて金を稼ぐには最悪。金が欲しいなら覚悟を決めろ。誇りとやりがいが欲しいなら金を諦めろ。
— やさぱす (@yasapasu) January 4, 2021
やりがいと、給料が相関することがないという理論も納得はいきますが、一方で、このバグのなかで、教授になりたい人が減るとますます医局ってどうなっていくのか?と心配にもなります。
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