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【ホント?ウソ?】骨接合術後の急性期は骨吸収抑制剤中止?

お仕事整形外科医です。


今回のお題も、よくある質問の一つです。


歯科治療時の骨粗鬆症治療薬の取り扱いについては、以前お話ししました。

【保存版】顎骨壊死を懸念してビスホスホネート系骨吸収抑制剤の予防的休薬は不要!?
なぜ、骨折急性期の骨吸収抑制剤の取り扱いについての質問が多いのかというと、歯科治療時の骨粗鬆症治療薬の取り扱いと同様に、ここ数年でまことしやかにささやかれていたことが変化してきているからだと思います。


変わっても、現場で受け入れられるまでしばらくかかるよなぁ〜。

若手の先生も、しっかりと論文ベースで反論しないと、経験に論破されてしまいます。
もちろん、経験を全て否定するわけではありませんが・・・。



この記事の内容まとめ
  1. 骨接合急性期の骨吸収抑制剤の中止は不要
  2. 再開時のに「モレ」をなくすためにも周術期は中止しないほうが無難

なぜ、骨吸収抑制剤は骨折急性期に使用が問題視された?

骨吸収抑制剤は、骨代謝に影響を及ぼす薬です。


骨粗鬆症患者においては、過剰な骨吸収を抑制することで骨密度の低下を予防します。


一方、骨折治療において骨吸収は骨のリモデリングにおいて重要なファクターです。


この点において、骨折の急性期に骨吸収抑制剤を内服しているのは理論上骨折治癒に不利に働いているのでは?という疑念が湧きます。


実際に私も上記のように教育をうけ、骨吸収抑制剤を中止していたこともありました。

また、以前経口BP製剤を骨折後に使用すると上腕骨技関節発生の相対危険度が2.37倍に有意に高くなったという論文もでており、これらのことが骨折後のBP製剤の使用が問題視されるきっかけでした。

参考文献
Solomon DH,et al. Osteoporos Int 2009;20:895-901

実際論文ベースでは、どうよ?

しかし、実際のところ、論文ベースで検討するに現在は、「中止する必要性はない」との解釈になっています。

実際に、先ほど紹介した論文以外には経口BP製剤が偽関節のリスクになるという論文はありません。

中止が不要を支持する論文は、いくつも出てきているようです。

参考文献
Timing of the initiation of bisphosphonates after surgery for fracture healing: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials:Osteoporosis International 2015 vol26 p431-441



本論文では、無作為化臨床試験のシステマティックレビューとメタアナリシスを行い、骨折手術後早期のビスホスホネート製剤(BP製剤)使用の是非検討しています。


結果は、
  • 骨折治癒の遷延や偽関節には有意差なし
  • 骨密度はBP製剤早期使用群で有意に改善
  • 臨床的にも問題になることなし

です。


実際の肌感との乖離もなく、違和感もありません。


ここまでくると、すくなくとも手術後早期にBP製剤を中止し、しかも再開しないという選択肢は絶対になしのような感覚になります。


忙しい臨床をされている先生方ならわかると思いますが、骨粗鬆症の患者さんにBP製剤などの骨粗鬆症治療薬の導入を入院中にするということも、一つの「山」であり、それが退院・転院後の忙しい外来での導入となるとそのハードルは一気に上がります。


その点を踏まえますと、骨折急性期だから一旦骨粗鬆症治療薬を中止するという選択は、その後もずっと再開されないリスクを含有しています。


中止する必要がないということは、この点においても整形外科医・患者さんの双方にとってメリットのある点ではないかと思います。

さらに論文ベースで追求

BP製剤については、以下の2論文でも「どの時期に開始しても、骨癒合を遷延させない」となっています。

引用論文
Li YT et al Osteoporos Int 2014;26:431-41
Xue D et al J Orthop Surg Res 2014; 9:45.


さらに、デノスマブについても同様のことが言われています。

引用論文
Adami S JBJS Am 2012;94:2113-9

これくらい、理論武装すれば上級医にも意見できるようになりますかね?

まとめ

骨粗鬆症治療薬、特にBP製剤については、ここ10年くらいの単位で大きくその取り扱いが変わってきています。


病院によっては、「外傷・骨折治療は若手の整形外科医の仕事であり、そのサポートとして他の専門の整形外科上級医が携わる」という形式のところも散見されます。


この点では、上級医によっては、ややアップデートが起こりいくい分野なのかもしれません。


下から突き上げるには理論武装が必須であり、今回の記事がお役に立てますと幸いです。





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