お仕事整形外科医です。
包括診療報酬制度は、出来高診療報酬制度と対極にあります。
過剰診療を防ぐ目的がありますが、逆に過少診療に陥るリスクを内在しています。
医療関係者以外の方であれば、”人への医療行為・診療行為がお金によって変わっていることは日本ではまだない”と考えられるかもしれませんが、日本でも事実そのようなことは起きています。
民間の病院における過少診療
公的病院であれば、ある程度赤字を出しても税での補填も可能です。
しかし、民間の病院ではそうはいきません。
赤字は、即倒産につながるため少しでも抑える必要があります。
一方、包括医療では、病名に応じて支払われる報酬が決まっています。
そのため、利益を出すには、最低限の医療で入院してもらい、退院につなげていく必要があります。
これまで、見たことがあるものとしては、
- 入院中に発症した急性疾患以外は新たな検査はしない
- 採用薬の限定
- 入院患者の選定
です。
1は、公的病院含めて、ほとんどの病院で行われています。
入院生活に支障がないような以前からの持ち込みの病気であれば、退院後に外来にかかっていただくと言うのが原則です。
逆に、入院したついでに全身調べてくれというのが、保険で賄われていた時代を恐怖に思います。
2は採用薬をなるべく安価なものに抑える行為です。
薬品の高騰による影響もあると思いますが、入院中に処方する薬は全て包括診療報酬のなかに含まれます。
そのため、院内で採用されている薬がすくなく、限定的になっていることがあります。
整形外科ですと、骨粗鬆症の治療継続に回復期・生活期をふくめたクリニカルパスが必要といわれながら、回復期で処方を継続することができず、いつの間にか注視されているなど、様々な問題を抱えています。
また、老人保健施設などになると、そもそも置いてある薬が少なく中止して行かざるを得ないものがたくさんあります。
医療経済が、治療・診療体制に影響を与えている現状が既に存在しています。
3は、高額な薬をどうしても継続しなくてはいけない人は、そもそも入院させてもらえないという現状です。
医療関係者以外の方は、信じがたいかもしれませんが、特に民間病院ではこのような事態が生じています。
介護についても同様
介護保険についても同様です。
”その人にとって、もっとこうした方がいい!”っていう状況でも、お金が払えなければサービスをうけられない事はたくさんあります。
高齢になると日々の生活が健康に直結することも多くなるため、ある意味でお金のあるなしで、健康状態が変わりうるとも言えます。
まとめ
日本の医療・介護の状況は経済的にかなりシビアになっていると言うことを、医療関係者以外の方が知る機会は少ないと思います。
これも含めて、リタイヤに必要な資産や時期を考えるべきかもしれません。
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