トラマドール塩酸塩・サインバルタの注意点

トラマドール塩酸塩・サインバルタは、腰痛ガイドラインでもかなりのいい位置を獲得するなど、整形外科医の使用する薬としての地位を獲得してきています。

一方で、その使用には注意が必要な部分も多く、意外と知られていなかった(私も知らなかった)ところを紹介します。

トラマドール塩酸塩はパーキンソン病の人に使用する際には注意が必要

パーキンソン病の方は、その前傾姿勢(頚部の垂れ下がり)・筋固縮などから、運動器の疼痛を訴えられる方は多く疼痛管理にはいつも悩まされます。

トラマドール塩酸塩は、慢性疼痛の選択薬としての地位を確立しつつありますが、パーキンソン病の方に処方する際には注意が必要です。

具体的には、パーキンソン病治療薬のMAOB阻害薬との併用ができません。アジレクト、エフピー、セレギレンが対象となります。

サインバルタは使用前に希死念慮の有無の確認が必要

 

もともと、精神科の薬としてのサインバルタは、使用に際して希死念慮を確認する必要があります。

整形外科医に精神科の薬って言うだけで拒否反応を示される方もおられるかもしれませんが、以前からデパスを多用していたので、始めから使いませんっていうのも違うと思います。

希死念慮の確認方法は非常に難しいと思うのですが、メーカーは、

1.この1ヶ月間、気分が沈んだり、ゆううつな気持ちになったりすることがよくありましたか?
2.この1ヶ月間、どうしても物事に対して興味がわかない、あるいは心から楽しめない感じがよくありましたか?

という2質問法を推奨しています。

なかなか、整形外科の外来で聴くのには勇気がいるようにも思いますが。。

サインバルタはSSRIであり、減量に注意が必要

具体的には、半月から1ヶ月単位で、漸減していきます。

突然の中断により悪心嘔吐、耳鳴り、手足のピリピリ感などが出ることがあります。 これは、薬のスイッチ時に出ることもあり、新しい薬の副作用と誤認されることがあるので注意が必要です。

しかし、耐糖能異常などが増悪し、ケトアシドーシスが出る場合には、中止せざるを得ないこともあります。でも、MARTAなどの抗精神病薬と違い、ケトアシドーシスが出る頻度は少なく、糖尿病の人にも比較的使用しやすい薬剤です。

サインバルタはNSAIDSや抗血小板薬内服している人は禁忌

脳出血のリスクが上がるそうです。

一方で、発売元である、イーライリリーのサイト情報ではNSAIDS・アセトアミノフェンとサインバルタの併用は、併用していないサインバルタ単独使用と比較し、疼痛の軽快に差はなかったとしています。

つまり、併用しなくても痛みはとれるぜってことですね。

サインバルタはトラマドール塩酸塩と併用しない方がいい

後ほど詳しく書きますが、セロトニン症候群の発症が多くなるようです。

まとめ

新しく使用し始める薬剤には、新しい注意が必要です。

整形外科医は手術ばかりに気を取られがちですが、手術は誰もされたくないという前提も、こころに刻んでおくべきです。

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内科医・研修医・若手整形外科医のための痛み止めの選び方、使い方だけの本2: 整形外科医はなにを考えて痛み止めを選んでいるのか? 痛み止めだけの本 (専門医ブックス)

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