今日、骨折治療学会の学会誌を久しぶりに眺めていると、いくつか驚きがありました。
橈骨遠位端骨折の術後合併症の発生率
考察の中に記載があった一文ですが、
橈骨遠位端骨折の術後合併症は8.6〜32%
との報告。
Johnson NA, Cutler L, Dias JJ, et al. Complica- tions after volar locking plate fixation of distal radius fractures. Injury 2014;45(3):528‒533.
8.6〜32%ってだいぶ違いますけど。。家族に説明するのに、10人に1人以下というのと、10人に3人っていうのは随分印象が違いますよね。
さらに、もし32%と考えると、
保存でも手術でもどっちでもいいけど、リハビリ早期にするためにとかいう理由での手術 は、かなり制限されるんじゃないでしょうか?
橈骨遠位端骨折の術後ばね指の発生率
また、この論文では、術後のばね指の発生が記載されていました。
私の観察不足や経過観察期間の短さかもしれませんが、あまり経験した覚えがありません。
ですが、この論文では、10.4%に発生したってことですから、かなりの確率ですよね。
まとめ
術後合併症は、なかなか表に出して発表しにくいものですが、この論文は潔く事実を記載していると感じました。
なにかにつまづいた時には、隠すのではなく共有すると言うのは、リスク管理の点では非常に有用です。
バネ指の発生率についても、今後はそういう目をもって、術後経過観察をする必要がありますね。
この記事の参考文献
橈骨遠位端骨折における掌側ロッキングプレート固定術後合併症の検討
淀川キリスト教病院整形外科
森本友紀子 川端 確 高松 聖仁
東住吉森本病院整形外科
池田 幹則 寺浦 英俊
骨折 第 41 巻No.2 2019 336-338
☆☆☆管理人の著書☆☆☆
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