お仕事整形外科医です。
骨代謝マーカーといえば骨形成マーカーと骨吸収マーカーのことで、骨質については評価が難しいものだと思っていました。
日本骨粗鬆症学会雑誌をパラパラ見ていたところ、骨質マーカー(骨マトリックスマーカーというそうですが、、)についても研究が進んでいることを知りました。
参考文献
日本骨粗鬆症学会雑誌 Vol.6 No.2 2020 p95-99
日進月歩ね。目が離せんわ。
知らなかったことを露呈すると、馬鹿がバレるんでは??
骨質マーカー
骨折のしやすさは、物理的な面からは、骨強度+骨質で定義されています。
骨強度は、いわゆる骨密度で計測するものです。
骨密度は骨吸収と骨形成のバランスで成り立っており、骨密度が高いと硬くなるというイメージです。
しかし、骨密度のみあがって骨質がわるいと、「チョークのような骨」と言われるように、硬いけど衝撃ですぐに折れてしまう状態となります。
大切な「骨質」ですが、これまで評価するツールがないと感じていました。
今回、日本骨粗鬆症学会雑誌に載ってた内容によりますと、尿ペントジシンが、その役割を担いそうです。
尿ペントジシンとは
尿ペントジシンは、昨今話題のAGEsの1種のようです。
AGEsは終末糖化産物ともいわれ、老化の原因とも言われています。
論文中で言われていたことは、
- ペントジシンは骨密度とは関係なく、既存骨折の有無に依存して高値となる
- ペントジシンは骨密度に影響を与えない
- FRAX®︎で骨折リスクが高くないのに、ペントジシン高値が骨折リスクと考えられる症例が11%存在
- Bis剤使用の骨粗鬆症患者においては、骨密度が上昇していても、ペントジシン値が高値だと、新規骨折を起こす
実臨床においても、骨密度低くないけど椎体圧潰している患者さんはおられます。
糖尿病やCOPD、腎障害の方は骨密度があまり当てにならないことも言われており、今後尿ペントジシンを含めた骨質評価が骨折リスクの評価に加わってくると、考えられます。
まとめ
尿ペントシジン(ELISA法)が、今後骨粗鬆症治療に風穴を開ける日が来るのではないかと思います。
そうなると、もしかしたら、骨粗鬆症という疾患名自体に変化が生じる可能性もありますね。
*なお、尿ペントシジン(ELISA法)検査の保険収載については未確認ですのでご注意ください。
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