お仕事整形外科医です。
ええ加減、本業の話をします。
私が医師になりたての頃は、大腿骨転子部骨折の術前にCT検査をすると、「やりすぎ」とドヤられたり、「レントゲンをよく見てから判断したのか?」と読影力を否定されたりしていました。
近年、CTはマストになってきています。
後方成分を評価し、重症度を分類するためにCTはマスト
中野のCT分類がとても有名です。
大腿骨の後方成分の骨折状況により重症度を考えることができます。
レントゲン大好きな先生方からは、単純レントゲンでもよく読めばわかると言われそうですが、大転子と小転子の後方部分が1塊となって骨折している型、いわゆるバナナ骨片の場合、単純レントゲンでは後方の支持成分が転位していないいわゆるJensen分類のⅡに見えるにもかかわらず、実は不安定型という状況があります。
前方成分の評価をするためにも、CTは必要!?
さらに、前方成分の評価にもCTは有用であると言われ始めています。引用
3DCT で評価した大腿骨転子部骨折の前方骨折線と腸骨大腿靱帯の位置関係と治療成績の関連性 山口労災病院整形外科 金岡 丈裕ら 骨折 42(1)197‒199,2020
腸骨大腿靭帯は、大腿骨転子部骨折の整復阻害因子として有名な構造物です。
引用させていただいた先生方は、腸脛靭帯付着部よりも近位の骨折線であれば、観血的整復と靭帯剥離・跨ぐ骨折であれば術中牽引で骨折部が開かなければ、観血的整復や靭帯剥離をすべきという提言をされていました。
この前方成分の骨折線の位置がCTを撮影した方が検者間誤差が少ない可能性があり、有用だというお話しです。
まとめ
以前は、CT撮影の是非についてかなりドヤされたものですが、これだけ文献がそろってこれば反論が可能です。
知識をアップデートしないと、学年を問わず容易に追い抜かれていってしまうのも、医学の面白さかもしれません。
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