一般病棟で「子供は面会制限」は単なる風習?

お仕事整形外科医です。


近年、一般病床にまで子供の面会制限をする病院が増えています。


もちろん、白血病治療など易感染性が問題となる患者さんの場合にはやむを得ない場合もあるかもしれません。


しかし、私の働いているような整形外科の一般病床(癌の方はおられません)にまで、子供だからという理由で面会制限をかけている病院が散見されます。


そもそも、子供が感染源のように扱われていることも納得いきません。


大人でも、トイレの後に手を洗わない人もいれば、平気でマスクもせずに菌を撒き散らかす人もいます。


むしろ子供の方が親の目が光っていて清潔という見方もありますし、病院で一番汚いのは、感染対策!と高らかにいう、私も含めた医療従事者です。


個人的には、医療従事者は感染源であるという認識こそが、清潔操作をより徹底する理由になるのではないか?と考えています。


全てを清潔にすることは、不可能であり、詭弁です。


ここぞというところを、いかに清潔に保ち、しっかりと分けることができるか?が大切だと思います。


上記のことを、先日Twitterで呟いたところ、論文を添付してくれる方がおられましたのでそれも参照しました。







子供の感染症に関する懸念

私の経験では、外人のシングルマザーの方が自分の長男に面会するために、2歳の次男を1階のフロア(しかも、遅い時間だったので半分消灯状態)にのこして病棟に上がっていたことがありました。


また、授乳中の母親が交通事故で長期入院となり、その間一切子供と面会できずうつ状態、リハビリにも悪影響という症例もありました。


看護師に聞くと、口を揃えて「病院のきまり」・「感染対策委員からのお達し」とのことで、根拠や情報の出所がはっきりしないものでした。


感染対策委員にきくと、「臨機応変に対応するように言っている」とのことでしたが、組織の悪いところといいますか、いつの間にか絶対的な決まりになってしまっていたようです。


そこで、実際に論文ベースで、感染への懸念についてはどうなっているのか気になり調べたところ、結論から言うと、問診などのスクリーニングを行い問題なければ、面会しても問題ないです。


論文では、入室制限が実施されていることが多いICUを対象としているものが多く、ICUで大丈夫なら一般病棟はまず大丈夫ではないかと思います。(もちろん、感染室や易感染性が懸念される方は別ですが、、)


米国では1980年代頃から小児科やNICUにおいて、入室している患児に対する兄弟の面会が行われているが、感染率が上昇したとの報告はなされていないとのことです。

参考文献
村田恵子.子どもの権利・家族の権利と面会.小児看護.2000; 23(6):713-8.
また、面会にくる子供への感染についてもそれほど懸念するべきではないという考え方が一般的なようです。

参考文献
ICU 入院中の患者に対する子どもの面会制限に関する実態調査 Journal of Japan Academy of Critical Care Nursing Vol. 5 No. 2, pp. 33-42, 2009

子供の精神的な健康に関する懸念

いただいた論文では、ICUに子供が面会に来ることによって、精神衛生上の問題が生じるのではないか?という懸念に関するものがありました。


結論としては、むしろ面会しない方が疑念を抱くことがあるようで、この点においても面会を推奨しています。


また、医療機器を怖がるのでは?という懸念については、むしろ興味をもって質問してくることが多いようです。


たしかに、患者さんのみでなく、家族をケアするという点においては、面会制限は子供を排除することに繋がりかねません。

まとめ

もちろん、施設基準を遵守することは大切です。


しかし、その基準の根拠を示せないのであれば、変えていくことも念頭に文献検索・調査を行う必要もあります。


根拠なく、不利益を被るだけの「誰かが言い出した」決まりに振り回される必要はありません。








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