お仕事整形外科医です。
整形外科医は、お薬以外にもメーカーさんとお話しする機会が多くあります。
メーカーさんの中には、自分の企業の機械を売り込むために、メリットばかり強調してくる輩もいます。
確かに、それに躍らされる医療者サイドにも問題がありますが、医療にせよ、社会にせよ、自分が売り込む商品のデメリットをプレゼンできない(知らないも含む)、もしくはデメリットに対しての考えをプレゼンできない営業マンは信用なりません
最近、回復期の勤務の時に他院のレントゲンを眺めていると、人工股関節のショートステムを拝見することがあります。
症例数は少ないですが、少ないながらもトラブルが多い印象で、以前からもっと知りたいと思っていました。
ショートステムの成績について
ショートステムの成績の報告については、短期かつ、開発者が行っているものが多い印象を受けます。
当然、開発者は自分が生み出したものを売りたいわけで、情報バイアスがかかりやすい類です。
また、短期で良くても、患者さん側からすれば中長期でも良くないと話になりません。
手術は、できれば誰も、受けたくないし、繰り返すなんてもってのほかです。
しかし、ショートステムについては、短期成績にも大腿部痛が多いという報告が多く、やはり初期固定性が低いのではないか?という懸念材料があるようです。
また、術後6週で2mm以上の沈下が15.7%に発生したという報告もあり、これを許容していいのか?という疑問すら残ります。
ショートステムの開発経緯
そもそも、ショートステムは、従来の長さのステムで、荷重がかかりにくい骨に骨吸収が生じること、将来的なボーンストックの問題もあることから、若年を対象に開発された経緯があります。(これは、お仕事整形外科医の私見もあるかもしれません)
若年は活動性が高いため、術後早期に安定性が得られないようでは、話になりません。
しかも、沈下も起こすとなると、どうコントロールすればいいのかわからないレベルです。
まとめ
かくいう、私もかつてはメーカーに踊らされていましたところもあると思います。
最後に責任を取るのは医師である以上、インプラントの選択も自分の考えをしっかりと持って挑むことが重要です。
また、論文は批判的に読み、引っかかるところがあったら、孫引きを繰り返したり、メーカーにしつこく聞く、議論する、批判するなどの慎重さが求められます。
コメントをどうぞ