アライメントを意識した骨接合

お仕事整形外科医です。


骨折治療において、正常側(健側)の評価は重要です。


両側骨折の場合は利用できませんが、健側は骨接合術の整復ゴールの指標となります。


近年、高齢者の骨折が多く見られます。


転子部骨折や頸部骨折でアライメントを意識することは少ないですが、大腿骨骨間部骨折・遠位部骨折や脛骨近位部骨折・骨幹部骨折では意識することが重要です。





術前のアライメント評価

骨折の場合には術前に立位にしてアライメント評価をすることは困難です。


なので、ある程度大雑把な評価にはなります。


しかし、大腿骨の場合は、弯曲がどうか?LDFAはどうかくらいは知っておいて欲しいものです。


大腿骨では、特に非定型骨折のように、強い湾曲を伴った骨折があります。


余談になりますが、非定型骨折の場合、完全に折れていれば、髄内釘とのカーブが合わず多少骨折部が凸変形してしまうことは許容しています。


非定型骨折では、不全骨折の治療の方が、インプラント選択に難渋することがあります。


小児の若木骨折のように、一度折ってしまえばいいのかもしれませんが、今のところ経験はありません。


脛骨の場合も同様です。脛骨の弯曲・MPTA・LDTAは事前に知っておくべきです。


その上で、術中にはイメージで骨折部のみ評価するのではなく、上下関節面まで含めた整復位評価をするべきです。


とくに、長管骨の骨間部近傍の単純骨折では、骨折部が整復完璧でも、ちょっとした力の入れ具合でアライメントが大きく変わります。


数度の違いが、三角関数的に大きな変化につながるためですが、術者はつねに広い視野を持つことを意識する必要がります。

患者さんのもともとのアライメント不良が骨折につながっていないか?

この場合にも議論が分かれるところです。


例えば、高度の外反膝の人が軸圧外傷で脛骨近位外側のdepression骨折をしたとします。


その場合、元のアライメントに戻ると、外側への軸圧を減らすことができず、骨折部の最転位を止められないかもしれません。


では、内反骨きりを併用するか??


議論が分かれるところだと思います

まとめ

木も見て森も見る。


骨折部をみて、アライメントを見る。


もっというと、骨折から全身疾患を考える。


さらに、術前の全身状態も考慮する。


術者に求められるものは非常に多様な視点であることを、再認させられます。








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