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【骨粗鬆症】運動療法の効果

骨粗鬆症診療において、薬物指導と同様に運動指導は大切です。


患者さん自身が「治りたい!」という行動を起こすことは必要です。


一方で医療者側も、単に「運動してくださいねー。」で終わるのではなく、具体的になにをすればいいのかを伝える必要があります。


骨粗鬆症治療のout comeは骨折予防です。
そのためには、骨密度上昇と、転倒予防が必要になります。

骨密度に関する論文


・まずは貯骨の話からになります。


骨密度は、1〜4歳と、12〜17歳の2つの時期に上昇し、思春期にスパートが見られ、18歳には骨代謝マーカーが基準値まで低下することが知られています。

引用
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年
Orito S ,et al: J Bone Miner Metab 27 : 687-704. 2009
この時期の、過度のダイエットなどによる栄養不足は、将来にわたっての低骨密度を惹起しかねませんので、避けるべきです。



・次に、閉経前の方についてです。

筋力訓練やウオーキング・ランニング・有酸素運動・ジャンプ運動は腰椎や大腿骨の骨密度増加に有用と言われています。
引用
Kelley GA, et al: Int J Endocrinol 2013 : 741639 ,2013
Martyn-St ,et al. J Bone Miner Metab 28 : 251-267, 2010

閉経前女性の研究で面白かったのが、病院勤務の運動習慣のない中年女性(平均46歳)に、サッカーをさせて、骨密度が増加したというものでした。


2日/週、40週間やったとのことでしたので、そこそこいいチームになりそうです!
引用
Barene S, et al. J Sports Sci 32 : 1539-1549, 2014



・最後に、閉経後の方について。

閉経後であっても、ウオーキングや下肢筋力訓練、ジョギングで骨密度上昇が見られるようです。
引用
Bonaiuti D et al. Cochrane Database Syst Rev 3 : CD000333,2002
Howe TE,et al. Cochrane Database Syst Rev 7: CD000333,2011



・outcomeのひとつである、椎体骨折効果については、閉経後女性に対して背筋の最大筋力の30%の負荷を背負って行う背筋強化訓練(10回/day、5日/週)を2年間すると、訓練開始後10年でも対照群と比較して運動群で背筋筋力と腰椎骨密度は高い。椎体骨折発生率も有意に低い。というデータでした。
引用
Sinaki M, et al. Bone 30 : 836-841,2002

驚きなのは、10年たっても、効果が持続している点。
運動習慣をすすめる上での、いい材料になりそうです。



・さらに、骨密度がすでに低下している人にも運動療法の効果はあるようです。


骨量減少、骨粗鬆症女性平均年齢65歳にウオーキング8000歩/day、4日/週、1年行なった研究では、腰椎骨密度を1.71%増加させ、一方で対照群では1.92%低下したとのことです。
引用
Yamazaki S, et al. J Bone Miner Metab 22 : 500-508, 2004

転倒予防


骨折予防には骨密度ともう一つ、転倒予防が非常に大切です。


転倒予防では、ダイナミックフラミンゴ療法が有名です。


名前は非常に難しそうですが、1分間の片脚立位を1日3回、1回左右60秒ずつと、非常にシンプルなものです。


ロコトレの一つにもなっていて、転倒リスクのあるからは、机に手を添えて行うなどの工夫が必要です。


ダイナミックフラミンゴ療法には、開眼片脚立位時間が長くなる効果があり、開眼片脚立位時間の延長は転倒リスクを減らすと言われています。

引用
永井隆志ら, 日本骨粗鬆症学会雑誌 : 123-128, Vol5,No.4 2019

まとめ


医療者側からの指導のみでは、患者の行動に結びつかず、outcomeとしての骨密度上昇や転倒予防につながらないという研究もあります。


しかし、具体的にどのくらいの頻度で何をすればいいのかなどを明確にお伝えすることで、このデータはひっくり返る可能性もあります。


昔ながらの診察室の椅子にドン座り爺医にならないためにも知識のアップデートを続ける必要があります。




引用
岩本 潤 日本骨粗鬆症学会雑誌2019 Vol5 No.4 15-18からの孫引きも利用しています



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